京セラは6月25日、従来品比で最大吸熱量を21%向上させたペルチェモジュールを開発したことを発表した。
ペルチェ素子は半導体素子を銅板で挟み、電流を流すことで基板の片面で熱を吸熱(冷却)し、もう一方が放熱(加熱)するエネルギー変換デバイスで、物質の表面温度を冷却する用途などで活用されている。新開発のモジュールでは、独自の単結晶成長技術を活用することで高い吸熱性を実現しており、冷却能力の向上が可能となったとする。
また、基板に熱伝導性の高い銅板を使用することで、急速昇温・降温を実現しており、特定の温度域まで短時間でアプローチすることが可能なほか、素子の側面を樹脂でコーティングすることで結露による腐食などから素子を保護することも可能としたとする。さらにカスタム対応として、温度を計測するための温度センサ(サーミスタ)の内蔵や放熱フィンの取り付けも可能としているほか、使用用途や筐体に合わせたサイズ変更にも対応が可能だとしている。
なお同社では、主な用途として自動車のバッテリーやシートの温度調整などを挙げており、これまで従来品が累計3200万個ほど使用されてきた実績を踏まえ、今後も車載分野におけるバッテリーの長寿命化などの提案を図っていきたいとしている。