TDKは6月17日、充放電可能なオールセラミック固体電池「CeraCharge」の次世代品として、従来品に比べ約100倍となる1000Wh/Lものエネルギー密度を実現した全固体電池用の材料を開発することに成功したと発表した。

  • 新材料を用いた全固体電池の単層セル

    今回開発された材料を用いた全固体電池の単層セル(出所:TDK)

IoT技術の普及により、近い将来には何十億ものICやセンサが運用されるとともに、それらを駆動させるための多くの電源が必要になることが予想される。環境発電技術を用いたこれらのデバイスが、外部電源から独立して長期間機能するためには、小型・充放電可能・低コスト・長寿命・高安全性・実装容易性など、さまざまな条件が要求されることとなる。

こうしたニーズに応えるためTDKは、積層セラミックコンデンサなどで用いられる多層積層技術に基づき、充放電可能な全固体電池のCeraChargeを開発。現在は量産を行っている。

そして今般同社は、長年培われた材料開発技術を発揮し、酸化物固体電解質とリチウム合金負極を採用することで、CeraChargeよりもはるかに高いエネルギー密度を備えた全固体電池のための材料設計開発に成功したとする。

同材料では酸化物固体電解質を採用しているため、既存製品に比べて熱安定性が高いことから、身体に直接触れるために高い安全性が求められるウェアラブルデバイスなどでの使用を想定しているとのこと。また、一次電池から二次電池への置き換えが必要とされるコイン型一次電池を代替し、環境負荷低減に貢献することも想定しているとした。

TDKは今後、新製品となる全固体電池の開発に向け、電池セルやパッケージの構造設計の開発を進め、量産化に向けて動くとする。さらに、同社が電子部品事業で蓄積した生産技術を適用することで、積層・多層化によるさらなる容量の拡大、および動作温度範囲の拡大を展開していくとしている。