サイバーエージェントは6月21日、同社のAI事業本部が、リテールAI研究会内に価格最適化分科会を設立し、アサヒ飲料やロッテなどと共同で価格設定に関する実証実験を行ったことを発表した。その結果、経済学を活用した最適価格決定の可能性を示し、今後は同結果と手法を基に企業の商品価格決定に貢献する予定だという。
この実証実験では、3月6日~4月5日の期間、福岡県、山口県、広島県のアルク (計43店舗)において、アサヒ飲料の「ウィルキンソン タンサン 500ml」、日本製紙クレシアの「スコッティファイン3倍巻キッチンタオル2ロール」、ロッテの「のど飴袋 102g」に対し、通常価格と通常価格より高い価格、低い価格の3パターンで店舗ごとに異なる価格を設定し、設定価格の違いによる販売個数の変化を観察した。
価格の違いによる検証においては、経済学(因果推論)のアプローチを活用することで、季節トレンドやチラシ等、価格変更以外の影響を除去し、価格変更のみの影響を検証した上で、実験期間における価格ごとの販売個数の変化や過去の販売データを活用し、売上を最大にする最適価格を推定するAIモデルを作成したという。
この実験により、勘と経験に頼らない実験ベースでの最適価格検証の可能性を示したという。また、通常価格よりも約15%値上げをすることで、売上が約12%向上する見込みがある商品が発見できた事例もあり、商品ごとの価格弾力性を実験的に捉えて効果的に価格を変動させることが、売上増加につながることが明らかになったという。
今後は、粗利を最大化する価格決定への拡張に向け、さらなるデータの取得や分析を推進する予定とのことだ。
リテールパートナーズ 宇佐川浩之常務取締役は、次のようにコメントしている。「プロジェクトに参加できたことを光栄に思います。実験の結果、値上げした方が良い商品とそうでない商品が発見できたことは大変興味深いです。経済学を用いたデータ分析の重要性を認識でき、今後のビジネス戦略に活用できると確信しています。」