Texas Instruments(TI)は6月19日、150W~250Wのモータードライブアプリケーションに向けて、最大650Vに対応する3相 GaN FET内蔵のIPM(インテリジェント・パワー・モジュール)「DRV7308」を発表した。
同製品は同社初のGaN IPMとなり、6個のGaN FETとドライバ、コントローラ、センスアンプなどを12mm×12mmのQFN1パッケージに搭載することで高いインバータ効率を実現するもの。同社では、家電製品や暖房、換気、空調といったHVACシステムにおいて、99%を上回るインバータ効率を実現できるとしている。
また、GaNデバイスの特性を生かすことで、200ns未満のデッドタイムと低伝搬遅延による可聴ノイズとシステム振動の低減を図ることができるとするほか、高い電力密度の達成により既存ソリューション比で電力損失の50%低減が可能となるため、外部ヒートシンクの省略などによるシステムのシンプル化とそれに伴うコスト低減およびソリューションサイズの小型化、静音性の向上などを提供するとしており、モーターインバータのプリント基板サイズについては最大55%低減することが可能だとしている。
さらにスルーレート(スイッチング速度)については、5V/nsから40V/nsまでレジスタで調整することが可能となっているほか、評価基板(EVM)およびリファレンスデザインも用意。EVMでは「C2000 LAUNCHXL-F2800137 LaunchPad」との組み合わせが推奨されているが、リファレンスデザインでは、C2000マイコンのほか、MSPM0シリーズマイコンのドータボードもサポートしており、同社のシステムアプリケーションマネージャ、モータードライブを務めるKrushal Shah氏は「カスタマ側のニーズに応じて使い分けてもらえれば」と説明している。
なお、同製品は現在量産前サンプルを1000個注文時の単価5.5ドル(参考価格)で提供中で、すでに一部の家電メーカーなどでの評価も進められている段階としており、そうした顧客との話し合いを進める中で量産時機を確定させていく予定としている。