キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は6月18日、2024年に開催した学生向け採用イベントを、リアルとバーチャルを組み合わせたハイブリッド形式で実施したと発表した。
対面だけでなく、バーチャル空間での座談会やオフィスツアーを実施したことで、全国の学生との意見交換や交流を深めることができたという。リアルな体験を望む学生とバーチャルの利便性を重視する学生のどちらのニーズにも応えることで学生の選択肢を広げ、採用エントリー数は前年比で110%となった。また内定受諾率も前年より10%増加したとのこと。
キヤノンMJでは、多様な人材の確保や採用エントリー数を増やすことに課題感があり、学生との接点強化のためバーチャルを活用した新しい採用施策を検討していた。検討の結果、採用担当者が短期間かつ低コストでバーチャル空間を構築でき、学生がPCやスマートフォンからスムーズに参加できる「バーチャルイベント支援サービス」を採用した。
キヤノンMJ 人材開発センター採用課 課長の天本義也氏は「2022年にウェビナーのみの採用イベントを実施したが、採用エントリー数が伸び悩み、ウェビナーでの表現に限界を感じていた。他社との差別化を図り、新しいことにチャレンジする社風を伝えるためにもこの形式のイベントを実施した」と振り返る。
2024年における採用イベントは2日間にわたり開催され、合計1410人が来場した。イベント後には、会社事業説明といった動画コンテンツなどのアーカイブを約4カ月間残した。来場した学生からは「自分の興味をもとに自由に見回ることが出来るのが魅力だった」といった声が寄せられたという。
「工夫したポイントは、動画と文字の資料を使い分けたことだ。社員の雰囲気を感じてほしいものは動画コンテンツ、それ以外はできるだけPDFの資料を作成した。動画は意外と見るのが大変かつ時間が取られるため、学生のタイパを意識した」(天本氏)
「メタバース」とも呼ばれるバーチャル空間を利用したサービスの市場は成長を続けている。矢野経済研究所によると、2023年の同市場規模は2851億円に達する見込みだといい、2027年度には2兆円を超える市場になると同社は予測している。
天本氏は「リアル開催、バーチャル開催それぞれにメリットを生かすことで、企業価値を高めたい。これらの新しい取り組みを通じて、幅広いスキルを持つ多様な人材の獲得を目指す」と意気込む。