「船で通勤」という新たな提案も
「芝浦プロジェクトの特徴である、東京の水辺において可能性を切り開き、ベイエリアに大きな影響を与えることによって東京の発展に寄与する」と話すのは、野村不動産ホールディングス社長の新井聡氏。
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野村不動産は、東京・芝浦でJR東日本とともに進めている再開発プロジェクトの全容を公表した。注目されていた街区名称は「ブルーフロント芝浦」。
この再開発は浜松町ビルディング(東芝ビルディング)の建て替え事業で高さ約230メートルのツインタワー建設を予定。そのうちS棟は25年2月竣工、N棟は2030年度竣工予定。オフィスや商業施設、ホテルなどが入る複合施設となる。
この地域では、東急不動産が「東京ポートシティ竹芝」(20年度開業)、世界貿易センタービルディングが「浜松町駅西口地区再開発計画(世界貿易センタービルディング・南館が20年度竣工、本館とターミナルが27年度開業予定)を手掛けており、「3つの地区の連携で活性化を図っていく」(新井氏)考え。
また、JR東日本が参画していることで、浜松町駅の交通結節点としての機能を高める取り組みも進む。駅からのアプローチは、26年度中には北口・南口の自由通路が完成する予定で大きく姿を変えることになる。
野村不動産は25年、本社を現在の新宿から、ブルーフロント芝浦のS棟に移転する。住宅に強い同社の本格的な街作り事業となることもあり、まさに社運を賭けた大プロジェクト。
このプロジェクトでは新たな働き方「TOKYOワーケーション」などの提唱をしており、同社は自ら体現することで他に入居する企業や、他のエリアにも波及させることを目指す。S棟のリーシングは現時点で約7割となっており「外資系の引き合いも強い」(野村不動産社長の松尾大作氏)
このプロジェクトでは「舟運サービス」も展開。24年4月から晴海~芝浦・日の出区間で「ブルーフェリー」の運航を開始。東京都との連携で「船での通勤」という新たな提案も行っている。丸の内や大手町、渋谷などと違う「水辺の魅力」を発信できるか。