【著者に聞く】『仕事の心得』デジタルシフトウェーブ社長・鈴木康弘

デジタル化が進むほど、試されるのはアナログな人間力

 当社はDX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルティングを通じて、デジタルを活用した企業変革のお手伝いをしています。皆さん、DXとデジタル化を間違われている方が多いですが、本来はトランスフォーメーションが主語であり、DXとはデジタルを活用して生産性を向上させながら、新しいビジネスを創出することが目的です。

 DX人材になるためには、様々なスキルが必要になりますが、意外と日本に足りないのは、デジタルスキルでも、ビジネススキルでもなく、パーソナルスキルなのではないかと思います。

 経営者の方々と話していて言われることは、社員が保守的になっていると。つまり、リスクを恐れて、新たな挑戦をしたがらないということ。さらにコロナ禍以降はリモートでの仕事が多くなり、職場でのコミュニケーションの機会が減っているということです。

 そういう話を聞くにつけ、わたしも仕事の基本とは何だろう? と考えるようになりました。

 仕事の基本とは言い換えれば〝型〟です。型があるから、型破りもあるわけで、型を習得できなければ上達などできません。職場でのコミュニケーションが乏しく、保守的な人に必要なことは型を覚えることです。

 では、仕事の型とは何なのか? それを一度まとめてみようと考えたのが、本著を刊行した理由です。

 わたしは仕事の基本というのは、先人たちの知恵を学び、真似することから始まるものだと思います。わたし自身を振り返ると、上司や先輩、同僚、お客様など、本当に多くの方から仕事の考え方や姿勢、心構えなどを教わりました。

 生成AI(人工知能)に代表されるように、世の中のデジタル化の流れを止めることはできません。ただ、デジタル化が進めば進むほど、試されるのはアナログな人間力だと思います。この本を手に取った方々が、何か一つでもそれぞれの人間力を磨くヒントを見つけていただければ幸いです。

【著者に聞く】『諫言を容れる 経営のリーダーシップ』公益財団法人 産業雇用安定センター会長・矢野弘典