キリンホールディングスは、開発を進めてきた電気の力で減塩食品の塩味やうま味を増強する食器型デバイス「エレキソルト スプーン」をついに製品化。その予約・抽選販売を、公式オンラインストアで開始した。
エレキソルト スプーンとは?
エレキソルト スプーンは、明治大学(明大) 総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室との共同研究によって開発された食器型デバイス。
同製品は、「減塩の重要性はわかるが辛くて続けられない」という食事療法を行っている人々の声をきっかけに、食べ慣れた濃い味の食事から、薄味の食事に変えても食欲が落ちてしまわないよう、食器にフォーカスをあてて開発を開始し、5年以上の歳月をかけて商品化が実現した。
このスプーンの持ち手部分に付けられた電極パネルを手で触れながら減塩食品を食べると、スプーン先端から微弱な電流が食品に流れ、独自の電流波形の技術によって、塩味やうま味など食事の味わいが増強される。甘いものでも、対象となる食品に塩分が含まれていればその味を増強するとのことだ。
電極が食品に触れた状態で、食品を口に含むことで、電極-食品-口-腕-手元の電極という回路の中に電流の流れができ、効果を発揮する仕組みのエレキソルト スプーンは、通常のスプーンに比べて、食塩を30%低減させた減塩食品の塩味を約1.5倍に増強させるという。
スプーン先端にある電極パネルがスプーンの奥側についているため、大きく口を開けて食べなければならないように思う人もいるかもしれないが、必ずしも電極パネルをすべて口に含ませる必要はなく、食品が電極パネルに触れていれば良い。
しかし、介護などの場面で、他人を介してエレキソルト スプーンで食事をする場合は、回路を作ることができないため効果を感じることができない点は注意が必要だ。
強度は4段階で調整でき、食事内容や個人の感覚によって調節することが可能。食卓で自然に使うことができるよう改良が繰り返され、持ちやすく、高安全性、高耐久性のスプーンとなっている。
エレキソルト スプーンは、食事全般で使用できるが、水分を一定程度含む食品が効果を感じやすいとし、パンやナッツなどの水分量が少ない食品では電流が流れにくく、効果が感じられないとする。そのため、例えば、具沢山のスープ、カレー、雑炊、ラーメンなどといった料理のレンゲ代わりとしての利用などが良いとされる。
とはいえ、体感には個人差があり、料理によっても感じ方が異なる場合もあるため、エレキソルトブランドサイトではおすすめレシピを公開しており、自分なりのアレンジで料理を楽しんでほしいとしている。
エレキソルト スプーンでカレーを実食!
今回は無塩カレーと通常のカレーに含まれる食塩量を25%以上減塩した減塩カレーを、普通のスプーンとエレキソルト スプーン両方で実際に体験してみた。
無塩カレーの方は、普通のスプーンで食べると当然だが味がほとんどせず、通常感じるカレーの美味しさは感じられなかった。一方で、エレキソルト スプーンで食べるとほのかにうまみを感じることができた。しかし、無塩ということもあり、エレキソルト スプーンの強度を強くしないとうまみは感じられなかった。
減塩カレーの方は、普通のスプーンで食べると、少し塩味は感じるものの、いつも食べているカレーの味とは程遠く、このままでは食事をする気が失せてしまうのが分かる。しかし、エレキソルト スプーンで食べると、トマトのコクやうまみに加え、あまみのような感覚まで感じることができ、とても美味しく食べることができた。より味を感じたい人は、ゆっくり食べることがコツのようだ。減塩カレーの方は最弱の強度1でもうまみやコクを感じることができた。
エレキソルト スプーンのサイズは250mm×38mm×25mm(幅×奥行×高さ)、重さは約60g(電池含まず)、電源はリチウム電池(CR2)。ペースメーカーなどの医用電気機器を装着している人、歯の治療中の人、金属アレルギーなどのアレルギー性疾患がある人、未成年、妊娠中もしくは妊娠をしている可能性がある人などは使用できない点に注意が必要だ。
販売価格は1万9800円で、公式オンラインサイトから購入が可能だが、申込数が販売台数を上回る場合には抽選となる。すでにあまりの人気のため2024年6月12日時点で販売受付を休止している状態となっている。次回の予約・抽選販売は6月中下旬を予定しており、会員登録ならびにメール配信登録をすると、最新の情報が届くと同社ではアナウンスしている。
なお、今後について同社では、より使い勝手の良い商品を届けられるようスプーンのほか、箸やお椀といった食器の開発も進めていることも明らかにしており、公式オンラインサイトにて随時展開していく予定としている。
2024年6月14日訂正:記事初出時、画像のキャプション内にて明治大学の宮下芳明教授のお名前を宮下芳名 教授と誤って記載しておりましたが、正しくは宮下芳明 教授となりますので、当該部分を訂正させていただきました。ご迷惑をお掛けした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。