一人勝ちの米エヌビディア 米政府による輸出制限の懸念

米半導体大手エヌビディアが発表した24年2―4月期決算は、売上高が前年同期比3.6倍の260億4400万ドル(約4兆800億円)、純利益が同7.3倍の148億8100万ドルと、いずれも四半期として過去最高を更新した。

 文章などを作成する生成AI(人工知能)ブームが巻き起こる中、開発に欠かせない半導体の需要が堅調。エヌビディアは、もはや一人勝ちの様相を呈しており、競合との差が今後さらに広がる可能性がある。

 ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会見で、「次なる産業革命が始まった」と述べ、業界の先駆者としての自信をのぞかせた。

 売上高と利益ともに予想を大きく上回り、米国株式市場は「素晴らしい内容だ」(アナリスト)と評価。株式分割を発表したことも好感され、株価が急伸し、初めて1100ドルの大台を突破した。

 ただ、エヌビディアの好業績を受けて、生成AI市場の拡大期待から他の半導体銘柄が買われるという方程式は、今回は成り立たず、相場には響かなかった。同社が半導体だけではなく、基盤となるソフトも手掛けているため、「他企業が食い込むことが難しくなる」(同)との観測から、売られた関連銘柄もあったのが実態だ。

 エヌビディアの業績は当面好調を維持するとの見方が大勢を占める一方で、障害となり得る潜在的なリスクもあり、必ずしもバラ色とは言い切れない。代表的な事例が米国政府による半導体の輸出制限だ。

 軍事転用を防止するため中国に対する半導体輸出管理の強化に加え、中東への輸出許可の発出を遅らせているとの一部報道もある。米国は中東から中国やウクライナ侵略を続けるロシアへ高性能半導体が流出し、軍拡につながることを危惧しているものとみられる。

 今後、中東への輸出管理が厳格化されるような事態に発展すれば、エヌビディアが逆風にさらされることになりそうだ。

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