日本電信電話(以下、NTT)は6月7日、急速に社会に浸透するAI(Artificial Intelligence:人工知能)をグループ各社が活用する基本的な方針として、「NTTグループAI憲章」をはじめとする規程類を制定したことを発表した。

また、5月に開催した2023年度決算会見で発表していたように、AIに関する最高責任者であるCo-CAIO(Co-Chief Artificial Intelligence Officer)を配置し、AIガバナンスを推進するためAIガバナンス室を新設する。

NTTグループのAIリスクマネジメント

NTTグループはリスクマネジメントの手法として、広島AIプロセスをはじめ国際社会で広く採用されているリスクベース・アプローチを採用する。AIの不適切な利用による社会的批判のリスクや法令違反による制裁金のリスクなど、ユースケースごとに「禁止レベル」「ハイリスク」「限定的リスク」に分類し、グループ内で統一する。

これらのAIリスク定義に基づき、AIプロジェクトマネージャと所属会社のAIリスクマネジメント責任者がリスク評価を二重に行うことで、評価の精度を担保するという。禁止レベルと評価されたAIプロジェクトはAI利用方法を見直す。禁止レベル以外の評価については、各社のAIリスクマネジメント責任者がプロジェクトのリスク低減を図り、それぞれのリスクに応じた適切な対処を実施した上でプロジェクトを推進する。

NTTグループのAIガバナンス

国際社会や日本政府の法規制・ガイドラインなどを参照し、NTTグループ全体でAIリスクを共通的に定義し管理するためのAIガバナンス規程類を制定した。

「NTTグループAI憲章」はNTTグループおよびその社員が常に意識し心がけておくべき基本的な方針を定める。「NTTグループAIガバナンスポリシー」はAIの適切な利用を推進するために、AIリスクを共通的に定義し、どのようにAIガバナンスの仕組みを整備・運用していくかを定める。「NTTグループ生成AI利用ガイドライン」は生成AI利用リスクの発生を抑止し、積極的な生成AI利用と価値創出を推進するために、NTTグループ各社で共通に認識すべき具体的なリスクとその対策の考え方を示す。

NTTでは、適切なAI利用の推進とAIリスクへの対応を統制するリーダーシップを担保するために、Co-CAIOを配置。また、Co-CAIOを補佐し、NTTグループのAIガバナンス規程類の整備と改訂を推進し、グループ会社のAIリスクマネジメント状況のモニタリングや評価を行うためのAIガバナンス室を設置する。

各グループ会社にAIリスクマネジメント責任者を定め、AIプロジェクトのリスク評価とリスク低減のフォローを実施。Co-CAIO、AIガバナンス室、各グループ会社のAIリスクマネジメント責任者が協力して、NTTグループの適切なAIリスクマネジメントとAIガバナンスを推進するとのことだ。