食材の長期保存を可能にした革新的な技術を開発するZEROCOは、政府がイノベーション促進やユニコーン創出を目的に設立した日本版SBIR(Small Business Innovation Research)制度に総額12億7000万円で採択された。
農林水産省の中小企業イノベーション創出推進事業として公募が行われ、同社は『革新的な鮮度保持技術を用いた農林水産物・食品輸出網の構築および効果実証事業』を行う。同社は零度で保管し食材の鮮度を保つ独自の保管庫を開発した。この保管庫に食材を入れることにより、野菜や生花を半年から1年、鮮魚や畜産物であっても、内臓も腐敗させず新鮮なまま保管することが可能になる。
また、調理した後の加工品であっても、作った状態で保管庫に入れれば、そのままの状態の鮮度を保つことができるため、農家だけでなく、食品加工物や飲食店の調理済みの商品が海外へと進出可能となる。今まで冷凍品が難しいとされていた寿司や生クリームケーキも輸出の扉が開かれる。
これにより、日本の農産物・食品加工品の輸出へのハードルが下がり、食産業全体の新たな市場を創出することにつなげたいという考え。同社社長の楠本修二郎氏は「この技術で日本の食産業全体に縦串・横串を刺し、海外で日本の食産業が力を合わせて勝てる仕組みづくりをしたい」と語る。
政府による本事業支援は5カ年の計画で進めていく予定であったが、最終年の27年を待たず、今年度中には海外での実証に着手する。来年には海外実装の計画が予定されており、国も日本の強みである食産業を発展させ世界での新たな市場活性化の支援に本腰を入れる。
海外からも高く評価される〝日本の食〟を海外のマーケットに届け、人口減が進む国内市場縮小が予測される食産業全体の課題解決になることが期待される。