EV GROUP(EVG)は、ガラス基板を用いなくても先端パッケージング向けの超薄型チップレット積層を可能とする量産向け全自動レイヤ剥離装置「EVG 880 LayerReleaseシステム」を発表した。

同装置は、同社の「赤外線(IR)LayerRelease」技術を採用することで、IRレーザーと無機の剥離剤を用いて、量産環境においてもナノメートル精度でシリコン支持基板からのレーザー剥離を可能とするもの。これにより、ガラス基板や有機接着剤を用いずとも、極薄層のトランスファーやそれに続くプロセスで必要とされる前工程との互換が可能になるという。

また、ナノメートル精度を提供できるため、従来プロセスを変更することなく極薄デバイスウェハの処理が可能となるため、より広い領域における相互接続が可能となり、次世代の高機能デバイス向けダイ設計なども推進できるようになると同社では説明している。

さらに、LayerRelease技術を活用することで1000℃までの高温プロセスが可能となるほか、常温でのIR剥離工程におけるデバイス層とキャリア層の完全性確保が可能になるとしている。加えて、レイヤー・トランスファー・プロセスにより、シリコン支持基板の研削、研磨、エッチングに伴う高価な溶剤も不要になることもメリットだとしている。

なお、同装置はレーザー露光、ウェハクリービング、ウェハ洗浄のすべてを1ツールに統合したLayerReleaseを活用する全自動前工程対応量産プロセス向けプラットフォームという位置づけで、メンテナンスの手間がかからないレーザー光源と、使用時のレーザー計測による完全なプロセス制御を備えていることから、先端ロジック、メモリ、パワーデバイス製造を含む前工程での極薄3Dレイヤ積層を行うことで、将来の3D集積化ロードマップをサポートすることができるという。

  • 全自動レイヤ剥離装置「EVG 880 LayerReleaseシステム」

    全自動レイヤ剥離装置「EVG 880 LayerReleaseシステム」の外観 (出所:EVG)