世界半導体市場統計(WSTS)による「WSTS 2024年春季半導体市場予測」が6月4日に発表された。それによると、2023年の半導体市場は前年比8.2%減の5268億8500万ドルとなったが、2024年は同16.0%増の6112億3100万ドル、2025年も同12.5%増の6873億8000万ドルと2年連続で2桁成長が続くことを予想している。
2023年の半導体市場については、世界的なインフレとそれに伴う利上げ、地政学的リスクの高まりなどが個人消費や企業の設備投資などに影響を及ぼした結果、AIデータセンターや自動車関連など、特定分野以外の半導体需要が低迷したとする。一方、2024年については、AI関連投資を中心に、メモリや一部のロジック製品の需要が急拡大しており、市場全体のけん引役となるが、それ以外のアプリケーションについては需要低迷が続いていることから、通年を通して、多くの製品で前年比ではマイナス成長となることが予想されるという。また2025年については、AI関連が引き続きけん引するほか、環境対応や自動化などの成長領域を念頭に、半導体市場全体として成長を期待するとしている。
製品分野別ではIC以外はマイナス成長に
2024年の半導体製品別市場予測としては、ディスクリートが同7.8%減の328億ドル、オプトエレクトロニクスは同1.0%減の427億ドル、センサ&アクチュエータは同7.4%減の183億ドル、IC全体は同20.8%増の5175億ドルと、IC全体のみプラス成長と予測している。そのICを、さらに詳しく製品別で分けてみると、メモリが同76.8%増、ロジックが同10.7%増、マイクロが同1.6%増、アナログが同2.7%減とアナログ以外がプラス成長予測となっている。
2025年については、ディスクリートが同7.7%増の353億ドル、オプトが同3.5%増の442億ドル、センサ&アクチュエータが同6.3%増の194億ドル、IC全体が同13.7%増の5884億ドルという予測で、ICの製品別予測としては、メモリが同25.2%増、ロジックが同10.4%増、マイクロが同5.2%増、アナログが同6.7%増といずれもプラス成長を見込んでいる。
緩やかなプラス成長が続く日本市場
また、日本市場のみを見た場合、2023年は同3.8%増の約6兆5637億円と、全世界のマイナス成長に反しプラス成長を達成。2024年も同4.6%増の約6兆8670億円、2025年も同9.3%増の約7兆5088億円と1桁のプラス成長が円ベースでは持続すると予測している。なお、ドルベースで見た場合は、2023年が同2.9%減の467億5100万ドル、2024年が同1.1%減の462億5400万ドル、2025年が同9.3%増の505億7800万ドルとWSTSでは予測している(1ドルあたり、2023年が140.4円、2024年以降を148.5円で換算)。