アリババ達摩院(DAMOアカデミー)は5月30日(ジュネーブ 現地時間)、WHOデジタルヘルス協力センターと提携し、デジタルヘルスのイノベーションを推進して多くの発展途上国へ医療AIの提供を目指す活動を開始したことを発表した。
医療AIの開発を推進
西太平洋地域では初となるWHOデジタルヘルス協力センターは、加盟国とのデジタルヘルス情報の交換、科学研究、国際標準化、および技術研修においてWHOを支援するという。このパートナーシップの下で、両者はそれぞれのリソースを活用し世界保健機関や国際電気通信連合などの国際機関を支援するため、デジタルヘルス、AI、産業開発の分野で研究を実施し助言する。
また、AIとデジタルヘルスの学際的な性質を踏まえ、医学、工学、デジタルヘルス、AI、産業開発などに関連する研修も共同で実施し、デジタルヘルス分野で総合的な能力を持つ専門人材の育成を支援するという。
さらに、WHOデジタルヘルス協力センターは資源を活用して、DAMOアカデミーがより多くの発展途上国に医療AIの恩恵をもたらすよう、デジタルヘルスの国際的な普及活動を積極的に促進。これにより、テクノロジーを通じた健康とウェルネスの向上が期待されるという。
がん検診の新手法を模索
DAMOアカデミーの医療AIチームは、膵臓がん、食道がん、肺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、大腸がんなど、7種類の一般的ながんを1回のCTスキャンで早期発見できる技術など、AI技術を活用した費用対効果が高く効率的ながん検診の新手法を模索しているとのことだ。
DAMOアカデミーが10以上の医療機関と共同で実施し、ネイチャー メディシン誌に発表した研究によると、同社のAIは約2万人の患者を対象とした大規模な膵臓がん検出テストにおいて感度92.9%、特異度99.9%を達成したとのことだ。
なお、この技術はアリババの慈善事業の一環として、中国浙江省麗水市の2つの病院で応用されているという。