IHIエアロスペースと兼松は5月31日、商用宇宙ステーションの開発を進める米Sierra Spaceに、「パッシブドッキング機構」を提供することで合意したことを発表した。

パッシブドッキング機構は、Sierra Spaceが開発する宇宙往還機「Dream Chaser」などをはじめとした宇宙機が、宇宙ステーションと確実で安全なドッキングを実現するために宇宙ステーションに搭載される重要な機器。IHIエアロスペースでは、ドッキング機構の国際標準であるIDSS(International Docking System Standard)に準拠しつつ、シンプルかつ高い汎用性、高い信頼性を提供することを目指したパッシブドッキング機構の開発を進めているという。

今回の提供合意は、重要なマイルストーンである基本設計が完了したことを受けて交わされたもので、これによりSierra Spaceが兼松からパッシブドッキング機構の提供およびサポートを受けるほか、今後、詳細設計に向けて3社で協力して開発を行っていくことが計画されているという。

なお、IHIエアロスペースでは、2021年より宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同でアクティブドッキング機構の開発にも取り組んでおり、こうしたアクティブおよびパッシブのドッキング機構が、今後の地球低軌道活動に加えてアルテミス計画における宇宙探査を支える重要な技術となることが期待されるという。

  • IHIエアロスペースが開発を進めているパッシブドッキング機構の3Dモデル

    Sierra Spaceが開発を行う宇宙往還機「Dream Chaser」および宇宙ステーションのイメージ(左)とIHIエアロスペースが開発を進めているパッシブドッキング機構の3Dモデル(右) (出所:IHIエアロスペース)