日本政府観光局が5月15日に発表した4月の訪日外国人客数は、304万2900人で、新型コロナウイルス流行前の19年同月と比較して4.0%上昇した。2カ月連続で300万人台に乗せ、増加基調が続いている。
訪日客数の伸びに伴い、国内消費は押し上げられているものの、日本のゴールデンウィークの時期にも重なり、一部観光地ではオーバーツーリズム(観光公害)の問題が解消されなかった。また、地方への誘客についても、まだ地域差がある状態だ。
訪日外国人客数は、春の桜シーズンで需要が高まったことやイスラム教の断食明けに合わせて東南アジアや中東地域を中心に増加したことなどが伸びをけん引。フランス、イタリア、中東地域では単月で過去最高を更新した。
企業の24年3月期決算では、円安も背景に、ホテルや百貨店、商業施設など、訪日客の需要を取り込んだ分野で好決算が相次いだ。政府は30年に訪日客6000万人、訪日消費を年間15兆円に伸ばす目標を掲げている。観光庁が4月中旬に発表した1─3月期の訪日外国人旅行者による消費額は1兆7505億円に達し、四半期ベースで過去最高を更新。外国人旅行者1人当たりの消費額は21万円を突破しており、25年目標に掲げていた20万円を既に超えた状態だ。
3、4月にかけての桜を目当てとした旅行者の動きは、地方の魅力に目を向けるきっかけにも一定程度つながったようだ。観光庁の髙橋一郎長官は15日の記者会見で、東北各地で桜と城などを目的に観光客が増えたことを挙げ、「地域的な広がりは大変重要なことだ」と手ごたえを示した。
引き続き各地の魅力発信に力を入れ、観光地での過度な混雑解消に向けた自治体の支援にも努める方向だ。