【農林水産省】サンマ復活へ第一歩? 国際的な総漁獲量を設定

極端な不漁に見舞われているサンマ。今年4月中旬に大阪市であった国際会議「北太平洋漁業委員会(NPFC)」では、今年の国際的な総漁獲量について、当初の25万トンから10%減らした22.5万トンにすることを決めた。ただ、実際の総漁獲量は約10万トン(2022年)ほど。枠が実際の倍ほどあり、マスコミの中には「漁獲枠が大きすぎる。実態を反映していない」と批判する記事もあった。

 しかし、今回、中国や台湾などを押さえ、資源水準に応じて総漁獲量を設定する制度の導入を決めており、「今後のサンマの資源回復に期待が持てる」(研究者)との内容だった。

 日本のほか、米国やカナダ、ロシア、中国など9カ国・地域で決めた合意内容は、「資源水準に応じて総漁獲可能量(TAC)を算出する漁獲管理規則」。これまでは、資源水準をはじき出したあと、それを参考に各国の交渉で決めてきた。

 坂本哲志農林水産大臣も4月19日の会見で「我が国にとって重要な魚種の適切な資源管理のため、一定の前進があったものと考えております」と評価している。一定の条件も合った。各国は、自国の漁業者が急にサンマを捕れなくなって困窮することをおそれ、変動幅について「対前年比10%」と決め、それを参考に2024年分が修正されたのだ。

 このNPFCの決定を受け、水産庁は5月10日、日本国内の2024年の漁獲枠を当初より6%減の11万911トンに決めた。この数年、日本でとれているサンマは2万トンで、こちらも実際の漁獲の5倍の枠だ。

 2010年前後、日本国内で40万トン前後の漁獲があった。値段も安かった。その原因は、地球温暖化等による海流の変化や、中国や台湾などの進出などが挙げられている。少し時間はかかるが、サンマの資源の再生に向けて確実な一歩を踏み出したようだ。

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