オリエンタルモーターは、気軽に生産ラインにロボットを導入したい企業などに向け、同社の汎用モーターなどを用いた産業用小型ロボット「OVRシリーズ」の販売を6月3日より開始すると発表した。これまでOVRシリーズは同社が開発、同社のグループ会社であるオリムベクスタが販売を担当していたが、6月3日以降はオリエンタルモーターとしての販売も行われることとなる。
同社は以前より、より自社の製造ラインに対して最適構造かつ低コストを狙いたい顧客に対して、オリエンタルモーターのモーターを活用した産業用ロボットの内製化の提案を行ってきた。そうしたロボットを内製するメリットについて、同社モーションシステム事業部の近藤大生氏は、「設備に併せた最適サイズで、既存設備の最小限の変更で後付けできるという点が大きい。また、壊れた際にも、仕様が分かっているので保守・メンテナンス性も高く、低コスト化も図ることができる。他社との差別化もできる」と説明するほか、自社でも社内でロボットを内製しており、そうした情報の公開も行っているとする。しかし、内製化をするためには、顧客側でロボットを設計する必要があり、そうした設計・開発リソースの確保が難しいために内製したくても諦めている企業も多いという。OVRシリーズは、そうしたハードルを下げることを目的に、内製のメリットを受けつつも、気軽に産業用ロボットの導入を可能とするために生み出されたとする。
OVRシリーズは、「使いこなせる ちょうど良さ」というコンセプトのもと、多回転アブソリュートセンサ搭載の自社製ステッピングモーター「αSTEP AZシリーズ」を全軸に採用した産業用ロボットで、自作するほどではないものの、ちょっとしたカスタマイズをしたいというニーズにも対応可能で、アームの長さの変更なども可能だという。また、ロボットを制御できる汎用コントローラ「MRC01」ならびに、ロボットコントローラとドライバを内蔵したユニット「MRCU」も提供。無償の専用プログラミングソフト「MRC Studio」を活用することで、複雑な動きであっても、簡単かつ直感的にプログラムすることが可能な点も特徴だという。さらに、ロボットならびにコントローラがなくてもオフラインティーチングができ、購入前にロボットの動作データを作成できるロボットシミュレータソフト「MRC Studio Simulator」やiPhone/iPad向けARアプリとして、設置場所を確認しつつ、ティーチングも可能な「MRC Reality」なども提供しているほか、ごく近い未来には、Meta Quest3を活用したMRアプリ版「MRC Reality」も提供される予定だという。
OVRシリーズとして提供されるのは、最大可搬質量3kgの3軸水平多関節ロボット「OVR3041K3-H」、垂直多関節ロボットとして、最大可搬質量5kgの4軸平行リンク機構ロボットアーム「OVR4048K5-V」「OVR4068K5-V」「OVR4088K5-V」、最大可搬質量1kgの5軸垂直多関節ロボットアーム「OVR5035K1-V」、最大可搬質量1kgの6軸垂直多関節ロボットアーム「OVR6048K1-V」の6製品。定価は垂直多関節モデルが98万円~、水平多関節モデルが60万円~、MRC01が22万円、MRCUシリーズが40万400円~としている(いずれも税別)。
このほか、同社では産業用ロボットを導入したいが、難しそうだと思っている顧客向けに、さまざまな課題解決を支援する「ロボットシステム立ち上げサポート」も提供しており、カメラとの組み合わせなどのニーズにも、内容次第では有償となるが対応することも可能であり、これまで社内で培ってきたノウハウを含めて、技術の提供をしていきたいとする。
なお、今回はあくまで産業用ロボットというカテゴリであり、協働ロボットではない点に注意が必要。ただし、同社としても将来的には協働ロボットの提供も行いたいとしており、今後、対応する技術の開発を進めていきたいとしている。