デロイト トーマツ グループは5月30日、プライム市場上場に属する売上1000億円以上の企業の部長クラス以上を対象とした生成AI(人工知能)活用に関する意識調査の結果を発表した。これによると、社内の利用割合が高いほど成果を感じているという。
同調査は同社が2024年2月から3月にかけて、プライム市場に所属する売上1000億円以上の企業の部長クラス以上1200人を対象に実施したものであり、有効回答者数は1180人。
生成AIの導入目的は?
生成AIの導入目的は、企業規模や業界を問わず業務効率化が第一に挙がっている。将来の導入目的も業務効率化が圧倒的な一方で、経営層に近づくほど、業務効率化に加えて業務自動化やコスト削減が増加する傾向にある。同様に、経営層に近づくほどイノベーションの加速も目的意識が増える傾向にあった。
生成AI導入後の社内の意思決定スピードの変化を聞くと、生成AIをほとんどの社員が利用しているという回答者の64.6%、半数以上の社員が利用しているという回答者では46.9%、一部の社員のみ利用しているという回答者では20.3%が、「意思決定のスピードが大幅に向上した」または「意思決定のスピードがわずかに向上した」と回答しており、生成AIの利用割合が高いほど意思決定スピードの向上を実感している。
生成AIサービスの自社開発動向については、19.2%がベンダー製品の生成AIサービスをそのまま利用しているかする予定と回答した一方で、56.1%がベンダー製や自社製を用いた生成AIサービスの自社開発を行っているまたは行う予定と回答しており、生成AIを利用するという段階から踏み込んで、自社ビジネスに適した生成AIサービス開発に取り組もうとする姿勢に移行しつつあると同社は見る。
生成AIで人員配置は変わったのか
生成AI登場に伴う人員配置転換の状況を尋ねたところ、32.4%が人員配置転換を推進し、また23.1%が将来のAI代替人材の雇用削減を始めていると回答した。
従業員数10万人以上の企業に所属する回答者では、生成AIの登場に伴う人員配置転換を「行っている」が「行っていない」を上回り、積極的な組織再編の姿勢がうかがえるという。 半面、9割が生成AIのエキスパート人材が不足していると回答し、供給が圧倒的に足りていないのが現状だ。
人員配置転換について企業部門ごとに見ると、6割弱がIT、4割弱が研究開発で人員増加していると回答し、人員削減については約3割が人事・総務や経理・財務で人員削減していると回答した。