5月22日から5月24日までパシフィコ横浜で開催されていた、国内最大級の自動車関連技術展「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」で、堀場製作所(HORIBA)は欧州で導入されて以降、日本などでも導入が進められている実路走行排ガス(RDE: Real Driving Emission)規制の今後の規制強化方針に対応することが可能な、新たな可搬型排ガス計測システムなどの展示を行った。
車両からの大気汚染物質の排出を削減することで、気候変動対策の一翼を担うことを目的として行われている排ガス規制。欧州では「Euro 7」、中国では「国7(China 7)」など各国でより新たな規制の検討が進んでおりこうした規制ではRDEという実路を走行しながら排ガスを計測する認証試験の実施が必要になるため、同社でも、そうした新規制に対応できる新たな計測機器の開発を進めてきており、今回、同展にて初公開するに至った。
今回展示された新型可搬型排ガス計測システムは、NH3、N2O、HCHO、CO、CO2、NO、NO2、CH4の計8種類の成分を同時に計測できるという。
従来、これらの成分を計測するためには複数の分析機器が必要であったというが、独自の濃度演算アルゴリズム「IRLAM(Infrared Laser Absorption Modulation、アーラム)」を活用することで計測性能を改善。必要となる計測成分のユニットを一体化し、配線やバッテリの数を削減することで、限られた車載スペースでも搭載できるようにしたとのこと。さらに、ガス計測に最適なレーザーも自社設計・製造することで、コアパーツから分析システムまで一括で品質管理できる強みも、今回の新機器開発につながったとした。
また、コンパクトなシステム設計を実現しながらも、試験室で使用する精度の高いラボ型分析装置と同程度の性能を維持しており、開発効率の向上も実現しているという。加えて、設置条件によらない正確な流量計測とドリフト性能の改善で、RDE試験の成功率向上に貢献しているともしている。なお、発売は2024年中を予定しているという。
このほか同社ブースでは、インライン塗布膜厚分析システムなどの実機を展示していたほか、カーボンニュートラル燃料の燃焼を「はかる」、FC・水電解を「はかる」、電動車両を「はかる」といったさまざまな計測機器についての説明を行っていた。