【外務省】政局不透明で、岸田首相の外交日程づくりに苦心

外務省が今夏から秋に向けての岸田文雄首相の外交日程づくりに苦労している。岸田内閣の支持率が低迷する中、永田町では首相が9月の自民党総裁任期を満了する前に衆院解散・総選挙に踏み切るかどうかが焦点になっている。

 当面は6月23日の通常国会会期末までの解散の有無に注目が集まるが、同月13日から15日までは、イタリア・プーリア州で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)がある。余程の事情がない限り、岸田首相も出席しなければならない。

 さらに7月9日から11日までは、米ワシントンで開かれるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議への招待を受けている。8月にはお盆前後に外遊を入れる恒例があるほか、9月には米ニューヨークで国連総会もある。

 今年はいずれのタイミングも政局の大きな局面とぶつかりそうだ。しかし、外務省幹部によると、官邸からは「9月の国連総会まで随行の首相秘書官をすべて決めた」と連絡があり、付随する外交日程を組むよう指示があったという。

「官邸からはG7サミットの直後、スイスで開かれる『ウクライナ平和サミット』にも出席する意向が届いた。他の外遊でも多くの日程を組み合わせるよう求められているが、政局を想定し、常にキャンセル含みで相手国と調整しなければならない」。外務省幹部はため息を漏らしながらこう打ち明ける。

 外相を5年務めた岸田首相は、これまで得意の外交を政権浮揚につなげてきた。自身の自民総裁再選がかかる時期だけに、外務省にもより強いプレッシャーをかけているようだ。この幹部は「岸田政権自体がどこまで持つかわからないのに……」と、本音ものぞかせる。

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