東京医科大学、RIZAP、こどもみらいの3者は、主観的摂食時刻が食事・運動プログラム中の体重・体脂肪の増減に影響するかどうかの調査を実施。その結果、絶対時刻(時計の時刻)より「体内時計に対応したタイミング」の方が体重・体脂肪変動へ影響したこと、特に主観的夕の炭水化物摂取と主観的夜の脂肪摂取が体脂肪の増加に影響するという結果が得られたことを発表した。
同成果は、東京医科大学 精神医学分野の志村哲祥 客員准教授(Stanford University, Department of Psychiatry and Behavioral Sciences)、日野展子氏、三邉佳意氏、井上猛 教授、こどもみらいの杉浦航氏、RIZAPの瀬戸健氏、柳井美穂氏らによるもの。研究成果は、日本睡眠学会第45回定期学術集会・第30回日本時間生物学会学術大会 合同大会にてポスター発表された。
食事時刻と肥満との関係についてはこれまでも多くの研究が行われてきたが、具体的に何時の食事が体重・体脂肪増加のリスクとなるのかはよくわかっていなかったという。そこで研究グループは、RIZAPの減量プログラムに参加した人を対象に、食事時刻と体重・体脂肪量の変動との関連について研究を行ったという。
具体的には、2015年から2018年までに、パーソナルトレーニングジム「RIZAP」において、週2回の運動指導(レジスタンストレーニング)と食事指導を受け、期間中に体重・体脂肪率、就寝・起床時刻、食事内容と食事時刻の経時的記録を行い、少なくとも14日以上すべて欠損なく記載した964名のデータを対象に分析を実施。分析としては、1日を絶対時刻(Clock time)と相対時刻(MSFscからの経過時間:CT)でそれぞれ8分割して行ったところ、各時刻別のカロリー摂取量は、18~24時およびCT+12~+18時が体重変動と、18~6時およびCT+12~18時が体脂肪変動と正に相関したことが確認されたという。また、炭水化物摂取は全時間帯で有意に体重・体脂肪変動と正に相関したほか(絶対時刻での平均14時~20時頃)、脂肪摂取は18~24時とCT+12~+18時が体重・体脂肪変動と正に相関した(絶対時刻平均20時~23時頃)ともするが、タンパク質摂取と体重・体脂肪の変動は有意な相関をほぼ認められなかったとする。
さらに、性別・年齢や初期体重・初期体脂肪率を調整した重回帰分析の結果では、絶対時刻ではなくCT別の(体内時計の時刻別の)食事量の方が、体重・体脂肪変動に与える良好な説明力を有しており(Adjusted R2=0.222-0.251)、ステップワイズ法による変数選択でも、CT別の食事量のみが有意な変数として検出されたとする。特に、CT+9~+15の炭水化物摂取とCT+12~+18の脂肪摂取が体脂肪の増加へ有意な影響を与えていたという。
なお、RIZAPでは今回の研究結果を踏まえ、一人ひとりの体内時計のタイプに応じて減量に適した食事時刻と栄養素構成が存在するという結果を、RIZAPおよびchocoZAPのプログラムの進化に適用することで、より効果的なリコメンデーションを実現していきたいとしている。