スカパーJSAT、NTTドコモ(ドコモ)、情報通信研究機構(NICT)、パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)の4者は5月28日、『空飛ぶ基地局』と呼ばれるHAPS(高高度疑似衛星)を模擬した小型飛行機を活用し、高度約4kmからの38GHz帯での5G通信の実証実験に成功したと発表した。
同実験では共立航空撮影の運航するセスナ機を使用。そして、HAPSへの搭載を想定して新たに開発した通信装置(セスナ機搭載局)をセスナ機へ搭載し、自動追尾機能をもつレンズタイプのアンテナをHAPS地上局として利用した。38GHz帯は、新たにHAPSの固定通信用途として国際的に特定された38.0-39.5 GHzの周波数帯域だ。
これにより、高度約4km上空のセスナ機と地上局3局との間で、38GHz帯電波を利用した5G NR方式の上空中継による地上5G網のバックホール回線を確立したという。5G NR方式とは、5Gに3GPP(3G以降の移動体通信システムの標準規格の仕様の検討や調整を行う各国標準化機関によるプロジェクト)によって仕様策定された新しい無線アクセス技術のこと。
4者によると38GHz帯電波による5G NR方式を使用した、上空中継の複数リンクからなるバックホール回線の実証は世界初の試みだという。
HAPSを利用した非地上系ネットワーク(NTN)は、5Gや6Gにおいて通信エリアを拡大するカバレッジ拡張実現に有効な技術だ。4者は今後、同実験で得られた結果を活用し、HAPSの早期実用化とNTNの実現に向けて取り組んでいく方針だ。