デル・テクノロジーズ(以下、デル)は5月27日、大成建設が全社統合ファイルサーバを「Dell PowerScale」NAS(Network Attached Storage)で刷新し、データ増加への対応とサイバーレジリエンスの強化を図ったことを発表した。

今回の刷新により、「サーバの記憶容量を2倍に増強」「圧縮・重複排除機能でデータ容量を約3分の1削減」「ストレージ設置のラックスペースを約半分に縮小」「AIを活用したサイバー攻撃対策の強化」などの運用効果を実現したとのことだ。

デルのソリューション採用以前の課題

大成建設は、「生産プロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション)」「経営基盤のDX」「サービス・ソリューションのDX」の3本柱で、デジタル技術とデータの利活用を推進している。

以前は業務データを全社統合ファイルサーバに格納していたが、画像や動画といったリッチコンテンツが急激に増加したことに加え、ランサムウェアなどの攻撃に対抗するためのサイバーレジリエンス強化も必要となっていたという。

また、建設業界においては、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用となり、これまで以上に業務効率化や生産性向上の取り組みが必要となっていたため、全社統合ファイルサーバを刷新するプロジェクトが開始した。

デルのソリューションを採用した理由

大成建設は以前から、「PowerScale」の前身である「Dell EMC Isilon」を活用していた。ノード追加だけで性能・容量をリニアに拡張できる上に、新機種へのマイグレーションも容易にできることなどから、今回もデルの「PowerScale」を採用。スナップショットを取得する「SnapshotIQ」機能によって誤消去したデータの即時復旧が可能な点や、専用管理ツールの「InsightIQ」でストレージの状況を詳細に確認できる点も評価しているそうだ。

導入後の効果

新全社統合ファイルサーバには、SSDとHDDを組み合わせた「PowerScale」のハイブリッドモデルを採用し、2023年5月より本番稼働を開始した。災害対策サイトにアーカイブモデルの「PowerScale」を配置するとともに、「PowerScale」のデータ保護ソリューション「SynqIQ」による遠隔レプリケーションを行うことで、事業継続性の確保も行っている。

全社統合ファイルサーバの記憶容量を従来の2倍に増強

これまで使用していた外部サーバを「PowerScale」に統合することで、全社統合ファイルサーバの容量は従来の約500テラバイトから約1ペタバイトへと倍増。データ容量の急速な増大に対応できるようになった。

圧縮・重複排除機能によりデータ容量を約3分の1削減

「PowerScale」は大成建設が比較検討した中で、圧縮・重複排除機能を持つ唯一のストレージサービスだったという。高効率な圧縮・重複排除機能により、実際の容量に対して約3分の1を削減し、コスト削減にも寄与しているという。

ストレージを設置するラックスペースを従来の約半分に縮小

ラックスペースを旧環境の約版分程度に省スペース化できたので、電力コストも削減できたそうだ。

AIを活用しランサムウェアをはじめとしたサイバー攻撃への対策を強化

「PowerScale」向けに開発されたランサムウェア対策ツールを採用したことで、「PowerScale」の使用状況を常に監視できるようになった。この対策ツールは、AIを利用して監視し、ランサムウェアと思われるイベントが確認された際にはスナップショットの取得などの操作を自動的に実行する。これにより、データ保護とセキュリティの強化が図れるという。