セキュリティ企業のSynacktivは5月23日(現地時間)、「Inside the iOS bug that made deleted photos reappear」において、iPhoneをiOS17.5にアップデートすると古い写真が復元される不具合に関する分析結果を報じた。この不具合の詳細は、「iPhone、iOS17.5にアップデートすると古い写真が復元される可能性 | TECH+(テックプラス)」にて報じている。

  • Inside the iOS bug that made deleted photos reappear

    Inside the iOS bug that made deleted photos reappear

不具合の修正と分析

Appleは報告を受け、iOS17.5.1にて不具合を修正している。そこで、SynacktivはiOS17.5およびiOS17.5.1アップデートをリバースエンジニアリングし、写真関連で変更のあったファイル「PhotoLibraryServices」を特定して分析。

分析の結果、データ移行ハンドラーの登録関数「PLModelMigrationActionRegistration_17000」が修正され、関数「PLModelMigrationAction_ResetFilesystemImportToken」の登録を削除したことが判明したという。この登録削除された関数は、ファイルシステムをスキャンしてフォトライブラリーに写真を追加する関数とみられている。

つまり、フォトライブラリーからは削除されていたが、ファイルシステムに残されていた写真をiOS17.5アップデートが復元したことになる。写真が削除されずにファイルシステムに残されていた理由はわかっていない。

疑惑の解消

Appleは本件不具合について「データベースの破損により削除した写真が再表示される」と説明している。しかしながら、写真が残されていた理由の説明にはなっておらず、また、写真を残したままにするiOS 17.5.1の修正で本当に問題ないのかは疑問が残る。ただ、一部から「iCloudなどにデータが不正に保存されていたのではないか」と疑惑が持たれていた点は解消された。

なお、iOS 17.5アップデートにて復元された写真は、iOS 17.5.1アップデートを適用してもフォトライブラリーから削除されることはない。不要な場合は手動で削除する必要がある。Appleには削除したつもりの写真が残される不具合について、速やかに修正することが望まれている。