東京大学(東大)と日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は5月23日、脂肪肝(全肝細胞の30%以上が脂肪化している状態)から肝がん発症リスクを予測するAI(人工知能)モデルの構築に成功したと発表した。AIが微細な構造を認識し、肝がん発症に関連する病理学的特徴を同定できるという。
肥満人口の増加に伴い、脂肪性肝疾患は世界中で問題となっている。近年では人口の約3割が脂肪肝を有すると言われている。
両者が開発したAIモデルは、非がん組織における細胞異型、核細胞質比の上昇、炎症細胞浸潤、大型脂肪滴の消失といった、これまで注目されていなかった微細な病理所見を認識することにより、線維化が進行していない症例からの肝がん発症予測を可能できるとのこと。
これにより、肝がん発症高リスク患者の早期発見を通じた適切なフォローアップが可能になり、将来的な肝がん予防と治療成績の向上への貢献が期待されるとしている。今後は、他疾患への応用も目指すとのことだ。