パズルキューブを0.3秒で解く！ - 三菱電機のロボットが世界記録に認定

三菱電機は、高速・高精度FA機器と制御技術を組み合わせたロボットを用いて「パズルキューブを最速で解くロボット」のギネス世界記録に挑戦して、これまでの認定記録(0.38秒)を上回る0.305秒を達成し、5月21日にギネス世界記録に認定されたことを発表した。

• パズルキューブを解くロボット「TOKUFASTbot」(出所:三菱電機)

• 三菱電機の開発チームとギネス世界記録公式認定証(出所:三菱電機)

ギネス世界記録を実現したロボットの「TOKUFASTbot(トクファストボット)」は、その回転機構に、小型・高出力かつ信号応答性の高い三菱電機製のサーボモータを使用。これにより90°回転0.009秒の動作を実現したとする。またシーケンサ、産業用PC、タッチパネル表示機器、カメラなどの主要機器も同社製品で構成することで、機器間の高速な信号接続と制御が可能になったという。

• 今回のロボットを構成する三菱電機製のFA機器一覧(出所:三菱電機)

さらに、家電や鉄道など幅広い分野の製品に利用されるモータの製造工程において、コイルを作る巻線装置に用いられる「電線を正確な位置に速く配置する動作制御技術(位置決め技術)」を応用することで、パズルキューブを回す動作が高速化された。

• パズルキューブを使用した位置決め技術の例(出所:三菱電機)

加えて、独自のAIを用いたアルゴリズムを応用することで、ブロックの位置やロボットハンドの影によって生じた色の見え方の差異を補正し、パズルキューブの色を正確に自動で認識・識別。最短の手数でブロックの色をすべて揃えるための回転手順を解析する計算プログラムの最適化により、演算処理の高速化・高精度化を実現し、世界記録達成に至ったとする。

• 色識別技術のイメージ(出所:三菱電機)

開発に携わった三菱電機の吉村裕司コンポーネント製造技術センター長は、「製品に数多く搭載されているモータの生産性と効率性を高める上で重要な高速かつ高精度の巻線を実現する技術力を証明するために、若手エンジニアたちが自ら世界記録への挑戦を発案し取り組んだ結果、今回、ギネス世界記録に認定され、技術力向上へのモチベーションもさらに上がり、大変嬉しく思う」とコメント。

同社は今後も製品の高効率化や高性能化などに取り組み、革新的なものづくりを追求していくとともに、製造現場の生産性向上や省エネルギー化につながる製品・サービスの提供を通じて、顧客企業の価値向上と社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献するとしている。