東京無線協同組合理事長・村澤儀雄が語る「日本版ライドシェア開始でも安全と利便性の追求を」

「東京都内を主な営業区域とする68社のタクシー会社が集結した。各社の知識やノウハウを持ち寄り、少ない投資で細かなニーズに対応していく」

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 タクシー業界の中でも「東京無線」の行灯(あんどん)で親しまれる。4月1日にチェッカー無線と統合し、都内最大級の5000台を超える無線グループとなった。一方で、4月からは一般ドライバーが有料旅客運送できる「日本版ライドシェア」がスタート。そこにも名乗りを上げた。

 国が指定する地域・時期・時間帯に限り、タクシー事業者の運行管理の下で認められる日本版ライドシェアだが、タクシー事業者以外の参入を認める全面解禁の議論も進む。「タクシー不足」と指摘されるが、現実は台数が足りないわけではなく、運転手が足りないということ。

「大事なことは需給調整だ」と強調した上で全面解禁には慎重な見方を示す。どこで、いつ、どのくらいのタクシーが足りないかを把握し、適切な台数の車両を配車する─。タクシー事業者であれば、その司令塔の役割を果たせると強調する。

 また、「(デジタル領域の)プラットフォーマとは異なり、タクシー事業者は運転手に対する教育や研修、タクシー車両には安全投資をしてきた。事故時の責任の所在など、タクシー事業者であるからこそ運転手の生活も守ることができる」。

 そのデジタル化でも取り組みを強化。地図を使った簡単な操作で、乗客の指定場所に5~10分程度で迎えに行ける車両を検索して配車する無料アプリ「タクシー東京無線」もいち早く開発し、本年5月のリニューアルを目指している。

 公共交通機関であるタクシーの強みは何か。線路に莫大な投資が必要な鉄道と営業時間が限られ、細い路地を走れないバス。タクシーは「24時間・365日、乗りたい場所から目的地まで安全かつ快適に移動できるラストワンマイル輸送が可能だ」。

 大学では理系だったが、祖父が創業したタクシー会社を引き継いだ。「理系の発想でタクシー業界に新風を吹き込みたい」と笑みを浮かべつつ拳を握る。