富士通は5月21日、先端AI技術を活用して、近年八丈島への回遊が確認されているザトウクジラの来遊状況の把握に向けた画像認識AIモデルの実証、および観光振興への活用可能性の検証事業を強化することを発表した。この事業は、みずほフィナンシャルグループの子会社であるみずほ銀行とみずほリサーチ&テクノロジーズ、および東京都八丈町が、八丈島のスマートアイランド化やサステナブル・アイランド化推進の一環として進めているもの。
実証の背景
みずほフィナンシャルグループは八丈島内唯一のメガバンクグループとして、デジタルテクノロジーなどの社会実装を通じて地域課題の解決を図る「スマートアイランド化」の実現に向けて、グループが持つ金融やデジタルテクノロジーに関する知見とノウハウを活用し、行政のデジタル化や観光振興へのデジタル技術の導入といった取り組みを推進している。
八丈島の持つ自然環境の象徴の一つであるザトウクジラについて、同グループは八丈町や国立大学法人東京海洋大学と連携し、生態調査や地域資源としての観光振興への活用においてデジタル技術の導入を支援してきたという。その中で、防災目的で導入した定点カメラの映像データから、AI画像認識技術を用いてザトウクジラの来遊状況を遠隔かつ適時に把握する実証を継続して実施している。
今回、富士通のAI技術を活用して事業を強化することで、これまで人手のみで実施していた生態調査を高度化して生物多様性の保全に貢献するとともに、観光客などに来遊状況を適時に発信することで地域資源を有効に使った新たな観光の魅力の創出を目指す。
実証の概要
今回の実証では、ザトウクジラの生態行動を学習させたAIモデルを用いて、島内に設置している複数の定点カメラの映像データを分析してザトウクジラ検知のフィージビリティを検証する。これと合わせて、来遊状況の観光客への周知など具体的な活用方法を見据え、検知結果を還元するための運用フローについても検討する。