三井不動産の築地市場跡地開発 「多機能スタジアム」軸に集客

「日本の国際競争力を左右するプロジェクト」

「これからの東京、日本の国際競争力を左右する、大変重要なプロジェクト」と話すのは、三井不動産社長の植田俊氏。

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 2024年5月1日、三井不動産は、同社が代表企業を務める「築地地区まちづくり事業」の概要を発表した。築地市場跡地の約19ヘクタールという広大な敷地の再開発で、他にトヨタ自動車グループの不動産会社・トヨタ不動産、読売新聞グループ本社など11社が参画。

 総事業費は約9000億円で、多機能型スタジアムやオフィス、商業施設、MICE(国際会議・展示会・研修など)施設、ホテル、住宅など9棟を開発。土地は東京都が70年間の定期借地で三井不動産連合に貸し出す。スタジアムなど7棟は2032年度、オフィス棟は2034年度の完成を見込む。

 中核は多機能型スタジアム。野球、サッカーなどのスポーツの他、コンサートやコンベンション、エンタメショーも開催できる。用途に応じてフィールド、客席の形を変えることが可能。

 読売新聞グループ本社の参画で読売巨人軍の本拠地を移転させるのではないかという見方もあるが、社長の山口寿一氏は「移転を前提に検討していない」と話す。本拠地移転は関係者の合意が必要で読売の一存では決められないとのことで、国内のプロ野球の試合開催もハードルが高い。ただ「国際試合の開催は考えられる」(山口氏)と話す。

 また、トヨタ不動産の参画で「空飛ぶクルマ」など、多様なモビリティの拠点となることも期待される。築地をハブとした「舟運ネットワーク」の構築で東京湾岸の活性化につなげる。

 2040年代の開発が見込まれる「臨海地下鉄」構想もあり、潜在力の高い立地。国内外から人を呼び込み、東京の国際競争力を高める施設として発信できるかが問われる。