古河電気工業(古河電工)は2024年5月15日、半導体需要の高まりを受け、同社の三重事業所(三重県亀山市)内に、半導体製造工程用テープを生産する第2工場を新設したことを記念する開所式を行った。
第2工場は2022年9月より着工。設備投資額は約70億円で、延べ床面積は8000平方メートル。今後、1年間かけて試運転を重ね、2025年4月より量産を開始する予定だとする。
同社では、半導体製造工程に用いられるバックグラインディングテープ(BGテープ)やダイシングテープなどの仮固定用テープ、接着用テープといったさまざまなAT(Advanced Technology)製品を製造・販売しており、グローバルでも高いシェアを獲得している。
近年、自動運転、遠隔医療、生成AIなどをはじめとしたデジタル化が世界的に急速に進展しており、長期的な半導体需要の拡大が予想されている。古河電工はそうした背景から、今後も安定的に半導体製造工程用テープを供給していくため、新工場の建設に至ったと説明する。
なぜ国内に新工場を開設したかという点において古河電工 執行役員常務 機能製品統括部門長の大野良次氏は、「近年では、安い労働力を求めて中国や東南アジアに新工場を設立する流れがあります。しかし我々は、工程設計の技術力を活かして、日本の中でやっていきたいと思っています。安価に製作し安価に売るのではなく、技術を守っていきたいです」と説明しており、あくまで自社技術を守ることを最優先に考えている意向を強調していた。
技術的にも材料的にも特殊な同社の半導体関連製品を海外で製造するとなると、日本から海外に材料を輸送する必要が生じるほか、ノウハウの漏洩も避けられないなどの理由もあるとする。
なお、今回開設された第2工場は、同社の半導体製造工程用テープの製造工場として平塚工場(神奈川県平塚市)、三重第1工場(三重県亀山市)に続く3番目の拠点という位置づけとなる。
古河電工 執行役員 機能製品統括部門 AT・機能樹脂事業部門長 矢野正三氏によると、同工場の稼働により全体の生産能力は従来の約1.5倍になる見通しで、2030年には同工場のフル稼働を見込んでおり、市場の動向を踏まえながら今後も継続して生産力の強化を図っていきたいとしている。