政府の地震調査委員会は13日、1月1日に起きた能登半島地震について半島沖の4つの海底活断層が動いた可能性が高いとの新たな見解を示した。産業技術総合研究所(産総研)の調査で最大4メートルの海底隆起が観測されたことから活断層の動きが分かったという。調査委は半島周辺で今後も強い揺れや津波を伴う地震が起きる可能性があり、注意が必要としている。
地震調査委によると、能登半島の西方沖から北方沖、北東沖にかけて主に北東-南西方向に延びる複数の南東傾斜の逆断層が活断層として確認されている。地震後の調査からこれまで海底活断層のうち半島北東側の活断層区域「珠洲沖セグメント」と北西側の「猿山沖セグメント」と呼ばれる2区域がずれ動いた可能性が高いとされていた。
13日に開かれた会合の主要議題は「4月の地震活動の評価」だったが、能登半島地震について産総研が4月に行った「高分解能反射探査」「海底地形調査」のデータを2007~08年の探査、調査データと比較して明らかになった調査結果が報告された。2つの区域の間にある「輪島沖セグメント」と猿山沖セグメントの西側の「門前沖セグメント」でも隆起しているのが確認されたという。
地震調査委はこの報告を受け「これらの隆起は地震に伴う変動を示している可能性が高く、南東傾斜の逆断層の活動が原因と推定される」との評価結果をまとめた。隆起の規模は門前沖セグメント東部で約1メートル、猿山沖セグメントで約1~4メートル、輪島沖セグメントで約1~3メートル、珠洲沖セグメントでは約2メートル。珠洲沖セグメントから門前沖セグメントにかけて4つのセグメントが地下でつながっており、連なった活断層が動いた可能性があるという。
地震調査委は4月9日の会合で能登半島地震発生から約3カ月間で、大きな地震の後に地面がゆっくり動き続ける「余効変動」とみられる地殻変動が広範囲に観測されたことを明らかにしている。
3月下旬までに富山県や新潟県、長野県など広い範囲で1センチメートルを超える水平変動が、石川県輪島市では約5センチメートルの上下変動(沈降)が観測されるなど、余効変動とみられる地殻変動が観測された。余効変動は大地震後に長期間にわたって起こる地殻変動で、2011年の東日本大震災や16年の熊本地震でも観測されている。
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