KDDIは5月13日、米Skydioと5月7日に資本業務提携を締結したことを発表した。Skydioはドローンの自律制御技術を強みとし、AI映像処理によるリアルタイムな空間把握を可能とするビジュアルスラム技術を用いて障害物を自動回避しながら安全に自律飛行するドローンを提供している。

提携の内容

今回の提携では、KDDIの5Gをはじめとする通信技術や、KDDIスマートドローンのドローン運航管理技術、Skydioの自律飛行性能を有するドローンを組み合わて活用を進める。これにより、点検および監視業務の効率化や、災害時における迅速な情報取集などを目指すという。

さらに、こうしたソリューションをさまざまな自治体や企業へ提案することで、労働力不足やインフラの老朽化、激甚化する災害などの社会課題に対してドローンの活用による解決に取り組むとのことだ。

KDDIは、アジア太平洋地域(APAC)の11カ国でのSkydio製品の独占販売権を取得する。Skydioのプライマリーパートナーとして、KDDIグループが持つグローバルな販売チャネルを活用しながらドローン事業のグローバル展開にSkydioと共同で取り組む。

提携の背景

国内では生産年齢人口の減少に伴う労働力不足やインフラの老朽化、地域の過疎化や高齢化、建設業界の2024年問題などが社会課題として顕在化している。日本の社会インフラは高度経済成長期に整備されたものが多く、耐用年数の50年を超えてさまざまな設備の老朽化が進んでいる。これに対しドローンを活用した点検・監視業務の効率化により社会問題の解決につなげることが期待されている。

近年では、地震や台風などの大規模災害により道路が寸断されるといった甚大な被害も発生している。災害時には被害状況を確認するための作業車や機材の手配が困難となり、迅速な被害状況の確認や被災者の救助活動など、ドローンの活用が求められる。

KDDIは事業戦略「新サテライトグロース戦略」において、5G通信をベースとしてデータドリブンの実践と生成AIの社会実装を進めるコア事業を中心に、注力領域の事業拡大に取り組んでいる。成長を目指す事業領域の一つである「Orbit2(モビリティ)」に含まれるドローン事業は、KDDIスマートドローンを中心に遠隔自律飛行をはじめとする高度なドローン活用を実現するための通信や運航管理システム、データ解析システムなどを展開する。 SkydioとKDDIは、遠隔自律飛行をはじめとするドローン活用の社会実装を通した社会課題解決への取り組みをグローバルに加速すべく、今回の提携に至ったという。