原料高や人件費輸送費の高騰を理由に食品業界では値上げが相次いでいる。
すかいらーくホールディングスはファミリーレストラン『ガスト』の商品6割を値上げした。一方、『チーズINハンバーグ』や『たっぷりマヨコーンピザ』など、昨年11月に値下げした商品の価格は据え置いた。
「組み合わせやシェアを楽しんでいただくニーズの高まりに対応した商品で、利用動機が広がっていることから今回価格を据え置いた」(関係者)としている。
かつてのファミレスは、いわゆる定食メニューのようなものを頼むスタイルが多かったが、最近は居酒屋のように使う「ちょい飲みニーズ」も増加。ガストでは平日10時~18時の間、ハッピーアワーと称してアルコールが税抜価格100円台から注文可能。小皿の組み合わせによる注文数も増えており、日中の居酒屋的利用が盛況だという。
伊藤園は今年10月から207品目の価格を2.2~36.4%の値上げを発表。2024年4月上半期(23年5―10月期)は、原料・資材等のコスト増は71億円、通期予測(連結)でのコスト増は126億円とし、資材費等のコスト高騰を吸収するため価格に転嫁する。
同社は容器のリサイクルボトルの使用比率を増やしている。リサイクルボトルはコスト増に繋がるが、2030年までに使用するボトルを100%環境対応ボトルに替えると宣言。現在コンビニで販売している1リットル容器の『お~いお茶』などの売上が好調で、小売店での価格競争を避けることに成功している。
「1リットル以上の商品は適正な価格で販売できる店舗での展開を望んでいる」(関係者)
容器も顧客ニーズに合ったものを考案。伊藤園は今後価格競争をしない方向性で、味と品質で勝負するとしている。