幕張メッセにて4月27日~28日、“日本最大級の文化祭”を謳う「ニコニコ超会議」が開催された。インターステラテクノロジズ(IST)は、「超宇宙開発ブース Powered by ホリエモン」を出展。燃焼試験で使ったロケットエンジンの実物などが紹介され、現在開発中の小型ロケット「ZERO」の最新情報に触れられる内容となっていた。
今回展示されていたのは、ZERO用のメタンエンジン「COSMOS」。このCOSMOSについては、現地で燃焼試験を取材したレポート記事があるので詳しくはそちらを参照して欲しいが、今回の展示品は、この燃焼試験で実際に使われていたものだ。燃焼試験は何度も行われており、ノズルの内側には、いかにも“使用後”な生々しい焼け跡も見える。
エンジンの構造は複雑。いろんな部品や配管があって、ちょっと分かりにくいものだが、この展示ではパネルで各部の説明がされており、どこに何が付いているのか理解しやすくなっていた。なお、これは燃焼器単体の試験であったため、フライト用のエンジンで必要となるターボポンプはまだ搭載されていない。
このエンジンの推力は60kN(6トン)。ZEROは開発途中で設計が大型化したため(直径1.7m→2.3m)、COSMOSの推力も現在は130kN(13トン)と、より強化されている。サブスケールの60kNエンジンを使った燃焼試験が一通り完了したことで、今後は、いよいよフルスケールの製造や試験が本格化することになる。
エンジンの隣には、ZEROのフェアリングも展示。これは、2023年11月に実施した耐圧試験で使ったものだという。フェアリングは打ち上げ時、大きな風圧を受ける。今回実施したのは、それに耐えられるかを確認するための試験だ。地上試験では、フェアリング内部の空気を抜くことで、この風圧による力を模擬している。
ZEROのフェアリングはCFRP製。自社設計で開発しており、この試験の結果、十分な強度を持つことが確認できたという。今回使われたフェアリングの直径は1.7mで、間近に見るとこれでも迫力があるが、実機ではさらに大きな2.3mになるため、こちらも今後、フルスケールで試験が行われる予定だ。
なお28日には、会場のステージでトークイベントが行われ、同社の取締役・ファウンダーである堀江貴文氏と衛星開発部の野田篤司氏が登壇。撮影はNGだったため写真はないのだが、野田氏が個人的に作ってみたという有人宇宙船の模型をポケットから取り出し、堀江氏がノリノリで「作りたいですねー」と応える一幕もあった。
野田氏によれば、この有人宇宙船は1~2人乗りで、ZEROのフェアリングに入るサイズで考えたという。現在、同社には公式な有人の計画はなく、これはあくまでも野田氏による私案ではあるのだが、ZEROの打ち上げ能力的には可能であるというのが興味深い。将来、もしかしたら北海道から有人の打ち上げもあるかも?