5月8日から10日まで、東京ビッグサイトで開催されたEDIX東京2024。同展示会は、学校・教育機関、企業の人事・研修部門など教育に関わる人に向けた展示会で、「業務支援」「教材・コンテンツ」「STEAM教育」「ICT機器」「教育DX」「人材育成・研修」「施設・サービス」という教育の課題に寄り添った7つのエリアで構成している。
本稿では、同展示会に出展したソフトバンクの「AIスマートコーチ」とスマホ依存対策に向けた取り組みを紹介する。
体育の授業をAIでサポートする「AIスマートコーチ」
AIスマートコーチは、「動画で学ぶ、比較する、振り返る」を通してスポーツのスキル向上をサポートするスポーツ練習アプリだ。部活動の自主練習に活用できるコンテンツと、小中学校向けに学習指導要領に準拠した体育の授業に活用できるコンテンツの2つが用意されている。
使用方法としては、最初にプロ選手や大学生チーム、スポーツクラブの様子を撮影したお手本動画を鑑賞。次に動画と同じ動きをしている自分の様子を撮影し、自分の動画とお手本動画を並べて比較することで、自分のできていないポイントや苦手な部分を振り返る、という流れとなっている。
このアプリの最大の特徴は、動画を比較する際に「AI」が活用されているという点だ。これにより、動画に映る人物の骨格を解析し、お手本動画とどのくらい同じ動きができているか「マッチ度」という指標で計ることができる。
この比較の際には、動画を隣に並べて見ることができるだけでなく、お手本動画と自分で撮影した動画を重ねて見ることも可能となっている。これにより、手の角度や足の上げ具合、といった細かいところまでチェックすることができる。
そのほかにも「練習メニュー作成」という、練習場所や時間、目的を入力するだけで、自分に合った効果的な練習メニューを簡単に作成することが可能な機能も備わっており、主体的にスポーツ体験を生み出すことができる。
部活動向けのコンテンツには「野球」「サッカー」「ハンドボール」といった球技から、「弓道」「ダンス」「陸上」と16競技が用意されており、体育の授業向けのコンテンツには「器械体操」「跳び箱」「鉄棒」「縄跳び」という4種目(別途申込が必要)が用意されている。
筆者も体育の授業向けコンテンツの中から縄跳びの二重跳びを体験したが、お手本動画と自分自身の動画を重ねて見ることで、ジャンプの高さなどに違いを感じることができ、非常に勉強になった。
担当者は「部活動においては、その競技の経験者でない教員が顧問に就任することも少なくないため、AIスマートコーチを活用して生徒にとっても、教員にとっても、有意義な部活動にしてほしい」と語っていた。
スマホでスマホ依存を解決する取り組み
また、同ブース内でソフトバンクは「中高生スマホ依存対策PJ」として、中高生のスマホ依存をスマホで解決するための取り組みを進めていることを紹介していた。
内閣府の調査によると、中高生の1日のスマホ利用時間は平均で196分と言われており、学校では使用できないことを考えると、帰宅してから就寝するまでの時間の多くをスマホを見る時間にあてていることが分かっているという。
また、スマホのせいで勉強が疎かになっている中高生は482万人もいると言われており、この現状に保護者からは「志望校に受かるか不安」「もっと別のことに興味を持ってほしい」という声が多く寄せられているという。
これに加えて、当事者である中高生からも「スマホ疲れを感じている」といった声が上がっており、ソフトバンクは「中高生のスマホ依存」を現代の大きな問題として捉えているそうだ。
そこで立ち上がったのが、中高生スマホ依存対策PJだ。今回の展示の段階では、具体的な取り組みやサービスなどの紹介ではなく、教育関係者に対する現状調査として出展していたが、これから2024年度中を目標に実証実験などを始めていきたい考えだという。
担当者は「現在は、Z世代で流行している新しいSNS『BeReal(ビーリアル)』の流行などもあり、余計にスマホを手放せない若者が増えました。通信会社としてスマホを提供している弊社だからこその視点で、この問題を解決していきたいと思っています」と話してくれた。