ソニーグループは5月9日、手術器具の自動交換と精密操作が可能なマイクロサージャリー支援ロボットを開発したことを発表した。
マイクロサージャリーは、ルーペや顕微鏡を覗きながら微細な血管や神経を扱う手術だが、高度なスキルが求められることから、そうした医師の精密な作業をサポートする手術支援ロボットの活用が期待されている。今回、同社が開発した支援ロボットも、そうしたマイクロサージャリーの支援を想定して、同社の研究開発組織が技術開発のために試作したもので、高感度かつ小型・軽量な操縦デバイスを新たに開発。また、小型化した手術器具を独自開発し、複数の器具をロボットアーム付近に収納することで、左右のアームが小さな動作で器具の着脱を短時間かつ自動で行う自動交換機能を実現したとする。さらに、それら手術器具の先端には複数の関節を設けることで、人の手首のように滑らかな動作を実現。これにより、ロボットの介在を感じさせない軽快な操作感を実現したとする。
このほか、患部や手術器具の動作を高精細に確認することを目的に、ソニーセミコンダクタソリューションズが開発した1.3型4K有機ELマイクロディスプレイを採用した3Dステレオカメラを搭載。患部や手術器具の動作を高精細かつリアルタイムに確認できるように、微小な組織を高倍率で立体撮影することを可能としたという。
すでに2024年2月には愛知医科大学において同試作機を用いた実験を実施。マイクロサージャリーを専門としない医師および医療従事者による動物の血管(直径約0.6mm)の吻合に成功したという。
なお、同社では同試作機について、従来以上に広範な手術工程をロボットが支援することが可能となることから、同社では、より多くの医師が対応できるようになることを目指すとしている。また、試作機については、5月13日から17日にかけてパシフィコ横浜で開催されるロボット工学とオートメーションに関するIEEE国際会議「ICRA(International Conference on Robotics and Automation)2024」の同社ブースにて公開することを予定しているという。