台湾のPowerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC)は5月2日、台湾中北部の苗栗県にある新竹サイエンスパークの一角である銅鑼サイエンスパークにて建設を進めていた300mmウェハ対応の新ファブ「P5」の開所式を開催した。
新ファブのクリーンルーム面積は2万8000平方メートルで初期の生産能力は月産9000枚、段階的に5万枚規模にまで引き上げる計画。幅広いニーズに向けて28〜55nmの成熟プロセスでの量産に対応する。
式典には台湾の蔡英文総統も出席。同社が産官学の連携を推進し、高度人材育成を通じて、台湾政府が重点分野に据える半導体業界の発展を促進、台湾産業の競争力の強化につなげていることに感謝の意を示したほか、新型コロナウイルス感染症の流行を経て、運用にこぎ着けたことにも触れ、台湾半導体産業の強靭性を際立たせたとも語った。
蔡総統によると、台湾の半導体産業の2023年における生産額は4兆3000億NTドルとなり、就業人口は20万人を突破しており、台湾経済の成長のけん引役であり、産業革新を促進する重要な原動力になっているという。また同氏は、台湾政府と民間企業が協力して半導体サプライチェーンの現地化を進めていくことで、台湾半導体産業の優位性を強化しつつ、新たなビジョンを創造することに期待を寄せたともいう。
一方のPSMCの黄崇仁 董事長(会長)は、台湾半導体産業の前途を楽観視しているとしながらも、少子化の影響で人材が足りないことも指摘しており、政府の取り組みとして、海外のエンジニアを引き付ける政策の実現などを要請したという。
なお、PSMCはSBIホールディングスと協力して日本の宮城県大衡村にも半導体工場の建設を計画しており、今回の式典には宮城県の村井知事も出席していた。大衡村の新工場については、投資総額が当初の8000億円から9000億円に膨らむ見通しのほか、工場の稼働開始を2027年から1年前倒しとなる2026年にする考えなどがSBIホールディングスから出ているという。