久喜市立図書館、図書館流通センター(TRC)、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の3者は5月8日、生成AI技術などを活用した蔵書検索システムの実証実験を5月下旬~2025年3月までの期間で実施することを発表した。まずは図書館職員が利用した上で機能改善を行い、2024年夏頃に図書館利用者向けに実験を実施する予定。

実証実験の背景

久喜市立図書館では、利用者にとってより便利で快適な図書館を目指し、KCCSが提供する公共図書館システム「ELCIELO」を導入、2024年5月から利用を開始している。

久喜市立図書館と同図書館の指定管理者であるTRCでは、AIを活用することで利用者のさらなる利便性向上や、子どもからシニアまで、幅広い世代に読書への興味を促したいと考えており、KCCSがAIなどの先端技術を活用した図書館サービスを提供していることから、3者で今回の実証実験を実施することとなったという。

以前から公共図書館では、利用者が書籍を探す際に「記憶違いなどで目的の書籍を見つけられない」、「適切なキーワードで検索できない」といった相談が多くあり、図書館職員の専門知識に大きく依存しているという課題があった。

今回の実験ではこうした現状に対して、AI技術を活用した蔵書検索支援を行うことで、利用者の利便性向上や図書館職員の業務負荷を軽減できるような取り組みを進める。

実証実験の内容

具体的には、公共図書館システム「ELCIELO」に、「読書サポートAI(仮)機能」「レコメンド機能」という2つの機能を実装した生成AI蔵書検索システムを連携させ、図書館利用者や職員に利用してもらうという形で実証実験を行う。

読書サポートAI(仮)機能は、記憶違いまたは記憶が曖昧な書籍タイトルの検索時に、類似の書籍タイトルを提案したり、利用者が探したい書籍や疑問を検索システム上で同AIに相談(検索)することで、適切な書籍の探し方や関連書籍を提案したりしてくれる機能。一方のレコメンド機能は、利用者の読書傾向に基づいた書籍の推薦を行う機能となっている。

  • 「読書サポートAI(仮)」利用イメージ

    「読書サポートAI(仮)」利用イメージ

3者は今回の実験を通じて、蔵書検索システムの利便性向上や新たな本との出会いを創出し、幅広い世代に読書への興味を促進できるよう取り組んでいきたい考え。