オンライン会議ツールの普及によりWebサイト上で開催されるウェビナーやイベントが増加する一方、実際に会場へ訪問した時のような臨場感やワクワク感がないなどの不満の声も多く聞こえるようになった。現在、それらの不満を最新のメタバース技術で補い、商談から見学会、採用説明会、ショールームまで利用できる3D空間を提供するのがオンラインイベントプラットフォーム「ZIKU」だ。同製品を提供するジクウは東京ビッグサイトで4月24日から26日まで開催された第33回 Japan IT Week 春内、メタバース活用EXPOでブースを出展しサービスのデモを行った。「ZIKU」とはどのようなサービスかレポートする。
展示会やイベントをリアルに演出する「ZIKU」
「ZIKU」は仮想の3D展示会場やアバターを活用して、単独企業がメタバース空間上にブースを設置し、製品やサービスのPRをイベント開催できるサービスで、メタバース空間にはVRゴーグルや専用アプリ不要でブラウザだけでアクセスし、仮想展示会場の作成もテンプレートから外観・内装、色やテクスチャなどを選択するだけの手軽な設定で設営できるものだが、登録フォームのテンプレートやカスタマイズ、ブース来場者の把握、展示物の設定機能の向上など主催者用管理機能のバージョンアップを重ねており、最近では、2023年12月に岡崎市主催で開催されたオンラインビジネスマッチングイベントに採用された他、6月、7月には、京都ノートルダム女子大学では、ライフキャリア形成科目「短期インターンシップ・インターンシップA」の講義でも活用されている。
テキストチャットやボイスチャットでコミュニケーションを取ることが可能で、担当者をサポートするマーケティング機能により、来場者の属性情報や行動履歴などを閲覧しながら、声掛けする相手を絞り込むこともできる。これらの機能によりイベントやウェビナー、ショールーム、見学会、内覧会などの集客力アップ、エンゲージメントの向上、資料閲覧数の増加などの効果向上も期待できる。
展示会場では、「ZIKU」で作成された展示会用のオンラインサイトがどのようなものか、実際のPCを利用して体験することができた。デモサイトでは、よく知られている3Dゲームなどの背面視点でアバターを自由に動かし会場内を移動、ブースに近づくと吹き出しや音声での呼びかけが行われる。
画面右下のコマンドランチャーから様々な操作が可能だ。ブース内では、展示スペースに設置されたモニュメントやパネル画像、動画、製品などの説明を確認でき、チャットを使って担当者への質問やボイスチャットを使ったオンライン商談を行える。
展示ブースの作成は、ブースの内観デザインの選択と展示物、説明員の設定の2ステップで作成。複数のテンプレートの中から選択し、色やロゴなどを選択し自由にカスタマイズできる。
展示会担当者をサポートする接客ツールには専用ウィンドウが用意されており、来場者の属性や行動履歴などの情報を閲覧しながら、チャットを使った声掛けを行うことができる。行動履歴では、ブース内の移動経路や入出してからの展示品の閲覧時間など詳細情報がリアルタイムで表示される。
ブースでは、ジクウ代表取締役社長 堀譲治氏から直接「ZIKU」について話を聞くことができた。親会社にあたるデジタルマーケティング企業シャノンが新型コロナウイルス感染症でイベント数が減少、事態に対応すべくオンラインイベントに事業をシフトしていく中、既存のオンライン会議ツールや一方通行の動画配信などではリアルイベントや展示会が持つ"人と人の出会い" "ビジネス商談" "イベント特有のワクワク感"などの重要な要素を満たしていないことを体感、3D空間とアバターを利用したメタバースでのビジネス空間をデザインし事業化。既存のイメージだけでは曖昧すぎて、実際に作って動かしてみないと、開発者も提供する顧客も製品のイメージを表現できない特有の難しさがあったという。
製品の今後ついては、円安により海外渡航にコストがかかる現状に対応し、国内企業の海外展開を助けるツールとして営業しつつ、まだ普及が十分とはいえない国内においてもサービスの広報を進めていきたいと述べた。