SK hynixが5月2日、同社本社にて今後の事業計画に関する記者説明会を開催し、同社のクワック・ノジュン(Kwak Noh-Jung)最高経営責任者(CEO)が、「2024年分のHBM生産枠はすでに完売し、2025年についてもほぼ完売状態となっている」と明らかにしたと、複数の韓国メディアが報じている。
同社では、AI技術が現在のけん引役であるデータセンターのみならず、スマートフォン(スマホ)、PC、自動車など、幅広いアプリケーションに急速に普及していくと予測しており、その普及に併せて高速、大容量、低消費電力のメモリ製品に対する需要が高まっていくとの見方を示している。そのため、AIアプリ向けメモリの需要も拡大する見込みで、HBMならびに大容量DRAMモジュールが全体の売り上げに占める割合は2023年の5%から2028年には61%まで拡大すると予測している。
また、AI需要の高まりは、HBMの生産量の増加期待を促すとともに、性能に対しても向上する期待が高まっていることを受けて、5月には12high(12層)のHBM3Eのサンプル出荷を開始し、第3四半期より量産を開始する計画だとしている。
同社では、NVIDIA-TSMC-SK hynixの3社同盟が1チームとして密接に協業し、最高の製品を適時に開発・供給していく体制が構築されていることを強調しており、今後もこの関係性が強化されていくとしたという。
また、同社はAI時代への対応として、HBM3Eと256GB以上の大容量モジュールの量産開始に加え、高速なLPDDR5Tを商品化や60TB以上の容量を持つQLCベースのSSDの商品化も進めており、今後もHBM4、HBM4E、LPDDR6、300TB SSD、CXL(Compute Express Link)Pooled Memory、PIM(Processing-In-Memory)などの次世代製品を積極的に進めていくとしている。
中でも独自のMR-MUF(Mass Reflow Molded Underfill)は、HBMパッケージングの主要技術であり、チップの積層圧力を6%低減し、プロセス時間を短縮することで生産性を4倍に高め、従来の技術比で放熱性を45%向上させるとしている。
さらにMR-MUFのメリットを維持しながら、新しい保護材料を使用することで放熱性を10%向上させたAdvanced MR-MUFを開発したことも最近発表しており、高積層に最適なソリューションとして、16層の技術開発を進めていることを明らかにした。同社では、ハイブリッド接合技術を先取りして検討しながら、16層のHBM4を実現するアドバンストMR-MUFを活用する計画だという。