Windows 10のサポート終了が2025年10月に迫る中で、Microsoftはユーザーに対してWindows 11への移行を強く推進している。しかし、現実にはこの移行はうまく進んでいないようだ。Statcounterが公開しているWindows OSのバージョン別のシェアレポートによると、2024年4月時点でWinodws 11は25.65%となっており、Windows 10の70.3%から大きく水を開けられている。しかも、Windows 11のシェアは同2月から減少傾向にある一方で、Windows 10は同1月から上昇しており、Microsoftの狙いとは逆方向に進みつつある。

Windows 11は2カ月で2.51%減少

2021年10月のリリース以来、Windows 11は緩やかながら徐々にシェアを伸ばしており、2024年2月には28.16%に到達した。しかし、そこから減少に転じて2カ月で2.51%減となり、2023年9月以来7か月ぶりに26%を下回る結果となった。

一方Windows 10は、2024年1月に66.47%で過去最低を記録したが、そこから反転して3か月連続で上昇を続け、2023年9月以来再び70%を突破した。この3カ月間は、Windows 11よりもWindows 10を使うことを選択したユーザーが多くいたということになる。

  • バージョン毎のWindowsの市場シェア 出典:Statcounter

    バージョン毎のWindowsの市場シェア 出典:Statcounter

数値だけ見ればたった数%の増減ではあるものの、Windows全体のユーザー数を考慮すれば、決して無視できる数字とは言えないだろう。特に、Windows 11の減少とWindows 10の増加が連動している点は興味深い。

24H2のAI機能が呼び水になるか?

Microsoftは、今年の秋にWindows 11の大型アップデートであるバージョン24H2のリリースを予定している。このリリースでは、AI連携機能が大幅に強化される見込みである。AIアシスタントのCopilotが進化した「Advanced Copilot」や、AIを利用した高度な検索機能を提供する「AI File Exploler」などの登場も噂される。この24H2アップデートが、Windows 10からWindows 11への移行を促す一つの鍵となる。

ただし、ハードウェア要件を満たさない一部のユーザーは、これらの新しいAI機能を利用できないという問題もある。24H2では、AI機能を使うためのハードウェア要件が強化されており、PopCnt命令およびSSE4.2命令を備えたCPUと、16GBのメモリが必要とされている。この要件を満たさないデバイスを使うユーザーにとって、24H2にアップグレードする動機は薄い。

いずれにしても、Windows 10のサポート終了まであと1年半足らずの時間しか残されておらず、ユーザーは決断を迫られている。その一方でMicrosoft自身も、依然としてユーザーの決断を後押しする有効な手を打てていない。