野村証券と山陰合同銀の提携 目標金額を2年前倒しで達成

24年3月12日、証券業務で包括提携している山陰合同銀行と野村証券は、当初26年3月末に達成するとしていた預かり資産8000億円を、2年前倒しで達成したと発表した。

 両社は20年11月に提携。山陰合同銀と、証券子会社、野村証券の松江支店、米子支店を一体化した。山陰合同銀は証券子会社を解散、システムを野村に一本化。山陰合同銀頭取の山崎徹氏によれば「銀行と証券会社の預かり資産ビジネスを完全に統合し、一本化した全国初のビジネスモデル」。

 山陰合同銀は証券システムを捨て、証券子会社を解散、双方の顧客情報を名寄せして一本化した。そのため山崎氏は提携時、「ルビコン川を渡った。後戻りはできない」と悲壮な決意を語っていた。

 結果、一本化によるコスト削減と同時に、預かり資産の積み上げという成果が出た。これまで山陰合同銀の顧客の一部は同時に野村証券にも口座を持って投資をしていたが、「野村証券さんとの提携で、経験豊富な投資家にも満足していただけるような提案が可能になった」(山崎氏)。

 野村証券としても、山陰合同銀の持つ地域の法人オーナーを含めた顧客に、より一層入り込むことができるようになった。

 今後に向け、27年3月末に保険を含めた預かり残高を1兆円から1兆1500億円に積み上げるという新たな目標を掲げた。他にも、M&Aや事業承継など法人ビジネスにも共同で取り組んでいる。

 野村は山陰合同銀の他、阿波銀、大分銀、福井銀、東邦銀とも同様の提携関係にあるが、こちらも成果が出つつある。

 野村証券取締役専務の杉山剛氏は「差別化に向けてはプロダクトに並んでソリューションが大事。そこに人もお金もかけて取り組んでいる。我々が持っているものをシームレスに提携先の皆さんに使っていただけるようになれば、地域の皆様のお役に立てる」と話す。

 証券業界では他に大和証券、SBIホールディングス、東海東京証券なども地銀との連携を進めている。証券と銀行の連携で金融地図の塗り替えが進む。