エム・アイ・エス(MIS)は5月1日、日本IBMが提供する「IBM watsonx.ai」を活用し、学生の成長を支援するプラットフォーム「AI Progress Monitor for Education」を開発した。主に私立の高等学校・専門学校から大学までの教育機関を対象としたサービスとなり、同8日からMISが提供を開始する。
「AI Progress Monitor for Education」の概要
少子化による学生数の減少に加え、コロナ禍などによる生活習慣や接点の多様化により、大学や高等専門学校などの教育機関では、個々の学生に寄り添ったきめ細かい支援が求められており、特に学生へのアドバイスのミスマッチは、学生の学習意欲の低下や学生自身の成長機会の損失、ひいては中途退学にもつながり、学校経営にも影響するという。
そのため、MISは2020年から学生の授業に対する姿勢や成績、課外活動などを学生本人や保護者へレポートするシステムを大学向けに開発している。
こうした背景を受けてMISは、IBM watsonx.aiを活用してIBM Cloud上で実装する、学生向けの成長支援プラットフォームとしてAI Progress Monitor for Educationを開発。
同サービスは、入学時にデータ活用の同意を得た学生の基本情報に加え、内申書や入試情報などの入学前の情報や入学後の授業の履修や出欠、進路状況、アンケート回答、面談情報などから、課題を抱えた学生について兆候と原因をAIが分析し、中退確率の予測や中退真因の抽出を提供する。
これらの結果は、全校・学部単位で把握できるほか、中退リスクのある学生に対し兆候を把握することで、学生に対する早期の教学支援やカウンセリングの実施など、中退の防止を目指す。
また、学生に対しては、個人の状況に応じたカウンセリングなどを通じ、キャリア形成など将来への構想を練る機会を得ることで、学生生活の質(QOL)の向上と安心感の醸成を支援する。
なお、サービスの提供に向けて、MISは自社のテスト環境下において過去の大学や専門学校の学生約5400人分のデータを使い、中退確率予測を抽出。結果として、過去データから予測された確率精度は90%と、精度の高さが実証されているという。
今後、MISは学生のキャリアプランのサポート機能の拡張に向けて、過去データの動向から卒業生の成長パターンをベースに、就職活動のヒントとなる業種業態のアドバイザリー機能の開発などを目指していく。