【経済産業省】電力・ガス補助金の終了決定 将来の「復活」にも含み

経済産業省は、家庭や企業の電気・ガス代負担を抑制するための補助制度を5月使用分でいったん終了することを決めた。ロシアのウクライナ侵攻に伴う液化天然ガス(LNG)などの価格高騰が一服したことで、役割を終えたと判断。ただ、将来的に原燃料価格が再び急騰した場合には、補助を復活させる可能性にも含みを残している。

 同制度は電力・ガス会社に補助金を支給し、利用者に請求する料金を割り引く仕組み。緊急的な措置として2023年1月に導入され、当初は同年9月に終わる予定だった。その後に期限が延長され、24年5月まで継続するとされていた。

 齋藤健経産相は打ち切りの理由について、「LNGや石炭の輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下してきた」と説明。予期せぬ国際情勢の変化などで原燃料価格が急騰し、国民生活に大きい影響が出る場合は、「迅速かつ機動的に対応する」と説明している。

 4月使用分の値引き単価は、電気が家庭用などの低圧で1キロワット時当たり3.5円、企業用などの高圧で同1.8円。都市ガスは、家庭や一定規模の企業などで1立方メートル当たり15円となっている。5月には支援が半分程度に縮小される。補助終了に伴い、東京電力管内の標準家庭(月間使用量260キロワット時)では、従来と比べて毎月の負担額が910円増える計算になる。

 また24年度は、太陽光や風力といった再生可能エネルギー普及に向け、電気料金に上乗せされる賦課金の単価が急増する。電力会社は、再エネの固定価格買い取り制度で購入した電気を卸電力市場で販売しており、燃料価格下落で売電収入が減ると賦課金は増える仕組みになっているためだ。

 1キロワット時当たりの額は、前年度比2.09円増の3.49円と2.5倍。東電の標準家庭では約540円の負担増となる。補助金終了とのダブルパンチにより、一般家庭などで不満が広がる可能性は否定できない。

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