Samsung Electronicsが4月30日に2024年第1四半期の事業別業績を発表した。
それによると半導体(Device Solutions:DS)部門の売上高は前年同期比68%増の23兆1400億ウォンとなったほか、営業損益は前年同期の4兆5800億ウォンの赤字から1超9100億ウォンの黒字へと、5四半期ぶりの黒字計上を果たした。
黒字転換の立役者となったメモリ事業
また、各事業別に見ると、半導体メモリ事業は、HBMを中心にDDR5、サーバSSD、UFS 4.0といった高付加価値製品に注力することでサーバ、ストレージ、PC、モバイルの各分野の需要に応えるなど質的な成長と、平均販売価格(ASP)の上昇を後押しに、売上高は同17兆4900億ウォンとなったほか、黒字化も達成したとする。
中でもAIサーバを中心とする生成AI関連向け需要が堅調で、HBMのみならずDDR5や高密度SSD製品などの引き合いも多かったとしている。そのため同社では第2四半期に向けて、引き続き生成AIからの高い需要を背景に業績はさらに伸びると見込んでいる。同社は2024年4月よりHBM3E 8Hの量産を開始したほか、第2四半期中にHBM3E 12H製品ならびに1b-nm 32GビットDDR5ベースの128GB品の量産を開始する計画。また、NANDについては2024年4月より第9世代V-NANDの量産も開始している。
ファウンドリ事業は先端プロセス需要に期待
一方のロジックデバイス、イメージセンサ、ファウンドリなどその他半導体事業の売上高も同18%増の5兆6500億ウォンとなっている。
ファウンドリ事業を除くシステムLSI事業は、SoCやセンサが伸びた一方で、ディスプレイドライバIC(DDI)がパネル需要の低迷から収益改善に予想以上に時間がかかったとしている。ただし、出遅れていたスマホの売れ行きが回復傾向にあることから、SoCやセンサの安定供給に注力するとともに、新たなウェアラブル向けの先進技術採用製品の出荷準備を進めているとする。
モバイル向けCMOSイメージセンサについては、50Mピクセル製品の量産を中心に、高い稼働率を維持できる見通しだが、コンポーネントの価格設定に対する圧力が強まる可能性もあることから、そうした課題を効果的に乗り越えることを目指した製品構成の調整を進めていくとしている。
また、ファウンドリ事業については、市場低迷と在庫調整の継続により売り上げの改善が遅れたものの、工場運営の効率化が進んだことで、損失をわずかだが縮小できたとしている。
さらに3nmおよび2nmプロセスの開発は順調に進んでいるとするほか、4nmプロセスの歩留まりが安定化しており、こうした先端プロセスが競争力を高めたことで、当該事業は同四半期に過去最高の受注残を達成したとしている。そのため第2四半期は前四半期比で2桁のプラス成長を予測するとしている。
同社では2nm向け設計インフラの開発完了に加え、3D IC向け4nmプロセスの準備を進める予定としているほか、14nmや8nmなどといった成熟したプロセスについて、さまざまなニーズに対応する準備を進めていくとしている。
なお、2024年下半期は不透明性が強いことから、ファウンドリ市場の成長は限定的になることが予想されるとしているが、5nm以下の最先端プロセスの需要の高まりから、年間売上高は市場平均を上回ることを見込むとしている。