スカパーJSATは宇宙ビジネスに関するすべてが集まる展示会「SPEXA 」にて、静止軌道上に宇宙ステーションを構築するという将来構想「Yamato」を出展していた。これは、同社が“静止メガ衛星”と呼ぶもので、従来の静止衛星に比べ、サイズが大きいことが特徴。様々な使い方が考えられ、同社は「静止軌道から新しい宇宙産業を生み出す」とアピールしている。
現在、静止軌道は通信/放送衛星や気象衛星が主な用途であるが、Yamatoはそういった単機能ではなく、国際宇宙ステーションのようにモジュールを追加していくことで、汎用的に使うことを狙う。
たとえば通信では、100mクラスの巨大なアンテナを搭載することで、地上のスマホとの直接通信が可能になる。また、静止軌道の特徴を活かした地表観測にも使える。静止軌道は遠いため、どうしても巨大な望遠鏡が必要になるものの、低軌道の衛星コンステレーションとは違い、1カ所をずっとリアルタイムで観測できるというメリットがある。
そのほか、物流(中継基地)、不動産(無重力環境の研究拠点)、エネルギー(宇宙太陽光発電)などの活用も考えられるという。基本的には無人での運用を想定しているが、顧客が独自に有人宇宙船を接続するようなことは考えられるそうだ。
まだ構想段階であるため、具体的な開発計画は無いものの、展示されていたモックアップは、2030年代のYamatoをイメージしたものであるとか。その横には、SFっぽいイラストもあったが、こちらはさらに将来のイメージということだ。
また同社ブースには、最新の通信衛星「Superbird-9」の模型も展示されていたので、最後に少し紹介しておきたい。これは、現在運用中の「Superbird-C2」の後継機となるもので、打ち上げは2027年ころを予定。ちょっと変わった形が目を引くが、これはエアバスの新型衛星バス「OneSat」を採用しているという。
OneSatは、“フルデジタル衛星”であることが特徴。打ち上げ後でも、ソフトウェアを書き換えることで、自由に通信地域や伝送容量を変更することが可能だ。静止衛星の寿命は長く(Superbird-9は15年以上)、その間に、地上の需要が変化することはあり得る。そういった市場の変化にも、フルデジタル衛星であれば自在に対応できる、というわけだ。