SK hynixは4月24日、2024年第1四半期の決算概要を発表した。
それによると、同四半期の売上高は前年同期比2.44倍、前四半期比10%増の12兆4300億ウォンとなり、四半期別売上高の過去最高額を更新したという。また、営業利益は、前四半期比8.34倍の2兆8860億ウォン(営業利益率23%)で、2018年第1四半期の記録に次ぐ2番目に高い水準となったほか、純利益に関しても、前年同期および前四半期の赤字から、1兆9170億ウォンの黒字へと転換を果たしており、同社は長引く不況を経て明確な回復の段階に入ったと宣言した。
営業利益の改善は、収益性の高いHBMを中心としたAI関連の売り上げが伸びたことによるもので、中でもAIサーバー関連分野の営業利益は前四半期比で8倍以上の伸びを見せたという。また、プレミアム製品であるeSSDの売上比率が上昇したことで、平均販売価格が押し上げられ、NAND事業も大きく回復したことも黒字化の要因となったという。
さらに、AIメモリの需要が堅調に推移することに加え、従来型のDRAM市場も2024年下半期から回復が見込めるため、メモリ市場は全体的に今後数カ月の間に安定した成長軌道に乗るとの予測を示している。業界の専門家などの間からも、HBMなどのプレミアム製品の増産には従来のDRAMよりも高い生産能力が必要となることから、そのしわ寄せとして従来型DRAMの供給が相対的に減少することとなり、サプライヤと顧客の両方の在庫減少が進み、安定成長の方向に向かうことが期待されるという声が出ている。
各製品分野別の戦略としては、DRAM分野については、3月より量産を開始したHBM3Eの供給量を増やしていく計画のほか、10nmテクノロジーの第5世代となる1b nmプロセスベースの32GビットDDR5製品の年内投入も計画しているとする。
一方のNAND事業については、収益の回復傾向を維持するために製品の最適化を追求する予定で、技術的に優位性を持つ高性能16チャネルeSSDと、米国子会社SolidigmのQLCベースの大容量eSSDの拡販を中心に進めていく予定。また、AI PC向け第5世代PCIe cSSDの早期投入など、最適な製品ラインアップを整え、市場の需要に応えていくとしている。
なお同社は複数の新工場投資を計画的に進めており、2024年の設備投資額は年初に策定した当初計画を上回ることが予想されるだが、顧客需要の高まりに応えるためにも推進していくとしている。
同社のキム・ウヒョン最高財務責任者(CFO)は「HBMが主導するAIメモリ分野における高い技術を背景に、明確な回復段階に入ることができた。今後も業界最高クラスのパフォーマンスを実現する製品を適切なタイミングで提供していくことで、収益性最優先の取り組みを維持し、財務成績の向上に向けた努力を続けていく」と述べている。