米国政府は4月25日(米国時間)、米国の半導体製造力を高めることを目的としたCHIPS法に基づき、Micron Technologyに最大約61億4000万ドル(約9500億円、1ドル=155円換算)の直接資金(いわゆる補助金)を支給することで基本的合意に達したと発表した。
提案された内容は、Micronがニューヨーク州に1000億ドル(約15兆5000億円)以上を投じてDRAMファブ群の建設を支援することを目的としたもので、同社の今後の20年間のビジョンの第一歩となる。また、アイダホ州のDRAM工場にも250億ドルの投資が可能となり、これらのMicronの投資を合算すると、今後20年間で世界のDRAMチップ生産の約40%を米国内で行うという同社の計画が前進することになるという。米国政府は、米国における半導体製造力強化の一環として、半導体メモリ製造の米国本土回帰に意義があるとしている。
米国の補助金支給の対象となるMicronの2つの新工場施設の詳細は以下のとおりである。
- ニューヨーク州クレイ工場:最先端のDRAMチップ生産のために計画されている4つのメガファブのうち、最初の2つのファブを建設する。各施設には60万平方フィートのクリーンルームが設置される。(4施設合わせて合計240万平方フィートのクリーンルーム・スペース)。この規模は、これまでの米国半導体製造拠点の中でも最大級のもので、サッカーのフィールド約40個分に相当。Micronでは、今後20年間におよぶプロジェクトの実施により、約1万3500人の直接ならびに間接雇用が創出されるとしている。
- アイダホ州ボイジー本社工場:最先端のDRAMチップの生産のために、約60万平方フィートのクリーンルーム スペースを備えた大量生産(HVM)工場を建設する。この工場は同社の研究開発施設と同じキャンパス内に設置され、研究開発と製造業務全体の効率を向上を目的とした技術移転を速やかに行うことを目指しており、最先端メモリ製品の市場投入期間の短縮を推進することになる。また、約6500人の直接ならびに間接雇用が創出されるとしている。
なお、米国政府はMicronに対して、今回決定した直接資金の提供に加えて、最大75億ドルの融資を行う予定ともしている。これはCHIPS法によって提供される750億ドルの融資枠の10%にあたる。加えて、Micronは財務省の投資税額控除を申請する計画も示しており、その額は適格資本支出の最大25%となる見込みである。