【株価はどう動く?】米FRBの利下げはかなり後退か? 日本の株価が直面する「政治リスク」

株価の行方を左右する米FRBの政策

 4月上旬現在、日経平均株価は4万円が壁になって日柄調整に入っていますが、この壁を完全に抜くのには時間がかかると思います。なぜなら、バブルの高値である3万8195円を抜いたことで強弱感が対立しているからです。

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 日経平均の今回の短期波動を見ると、2023年10月4日の3万487円が一番底、10月30日の3万538円が二番底とダブルボトムが入ってから上昇を始めています。常々指摘していますが、株は二番底が入ってから上昇を始めます。

 直近の高値は3月22日の4万1087円ですが、この間の上げ幅は1万600円で、この3分の1押しが3万7500円近辺です。

 直近の安値を見ると、3月12日の3万8271円です。株価は目先、4万円の壁を前に調整していますが、上げ幅に対して、それほど下げていないということです。ということは先々、意外と早い時期に株価は上昇する可能性があります。

 ではなぜ、日経平均が4万円の壁をすぐに抜けないのかというと、米国株式市場の動きに左右されているからです。

 前回指摘したように3月21日近辺にニューヨークダウ、ナスダック、S&P500が全て最高値を付けましたが、これは少し過熱気味なので、そこから私は警戒モードに入っています。

 この3指数全てが高値を付けた要因は、昨年末からFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを見送ったことで、市場が「金利とインフレはピークアウトした」と受け取ったことにあります。

 昨年末あたりの24年の金融市場における予想は、年5回ほどの利下げを見込むというものでしたが、4月上旬現在、1回も利下げを行っていません。

 4月30日、5月1日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が行われますが、ここでも利下げは見送られる可能性が高いというのがウォール街の認識となっています。

 それどころか、FEDウォッチ(今後のFOMCで米国の政策金利の誘導目標が変更される可能性を確率で示した指標)を見ると、前回のリサーチでは年5回から2回に回数が減り、直近はついに1回となりました。

 4月末のFOMCはもちろんのこと、利下げ時期は相当後退するのではないかという情勢です。

 こうなると、5回の利下げを織り込んで上げてきた、米株価の3指数は当然調整されるということになります。最高値を付けたのが3月21日ですが、1カ月後の4月20日前後に高値を抜けないようなら、下落の可能性が高くなります。この時には、米株式市場を牽引している巨大ハイテク企業などの株価も売られることになります。

 前回日本株投資をしている投資家に対しては、現金比率を高めるべきだと指摘したのは、この米株式市場の動きを予想してのことです。

 今後、4月末までに株価が急落せずとも、5月、6月になっても利下げをしない、あるいはインフレ率が上がってくるようなことがあれば、株は暴落する可能性も出てきます。

 実際、米国の長期金利は4.5%ほどまで上昇しています。1月24日の4.18、2月22日の4.33あたりが高値でしたが、4月10日に4.55を付けています。金利が上昇するに従って、株価急落のリスクが高まります。今は昨年10月19日に付けた4.98が直近の高値ですが、今はその水準に向かっています。

 この時には米国のインフレ率上昇がはっきりして、株が売られることになります。4月末からゴールデンウィークにかけて米国株が急落する可能性があります。それに連動して日本株も下落するでしょうが、日本株は底堅い動きとなるでしょう。

為替の円安はいつまで続くか

 もう1つ、日本には「政治リスク」があります。岸田政権の支持率は低迷しており、かつて元自民党参院幹事長の青木幹雄氏が提唱した「青木率」「青木の法則」という政治用語があります。内閣支持率と与党第1党の支持率を足した数字が50を下回った場合に政権が倒れるというものです。

 この青木の法則によれば、いつ、岸田政権が崩壊してもおかしくない状況で、岸田首相は綱渡りの政権運営をしていると言えます。そこで、得意の外交で、訪米して米国時間の4月10日に日米首脳会談を行いましたし、場合によっては北朝鮮を訪問して、拉致問題を少しでも進展させることで支持率を回復させようとするかもしれません。

 ただ、いずれにせよ岸田政権は次第に打つ手がなくなり追い詰められていくと見ています。政権を支えていた安倍派、麻生派、茂木派の3派は麻生派以外が空中分解し、支える力がなくなっています。いずれ「岸田おろし」も始まる可能性があります。そうなると岸田首相が乾坤一擲、解散総選挙に打って出る可能性も出てきます。有力視されているのは6月の国会終了時です。解散総選挙で人心一新となれば、一時的に株価は上がるでしょう。

 為替は1ドル=150円台で推移しています。これは日米金利差が、今後も縮小よりも拡大する可能性が高まっていますからドル高要因です。ですから少々介入しても、金利の高いドルに円から資金が集まります。

 これに対して政府・財務省が介入し、一時的に円高になったとしても、効果は限定的です。ですから4月上旬現在、財務省は介入に動いていません。逆に介入したら、「伝家の宝刀」を抜いたところでは材料出尽くしで円安に火がつくでしょう。

 足元で為替は、145円から150円というゾーンから、150円から155円というゾーンに入ってきています。介入すれば円高材料がなくなり、160円に向かう可能性があります。

 円安の流れは短期的には日米金利差でドル高が続きますし、長期的には日米の経済力、国力の差を見ても米国は強い。ですから円安の流れは当分変わらないものと見ています。